Vol.2 No.2 2009
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−181−Synthesiology Vol.2 No.2(2009)座談会:シンセシスな研究についてコアを売り出すタイプの技術は、足元を見られているような感じもしますが。大木 コアをもとにして進めていくというやり方は、今までも普通にやっていたと思います。本格研究というのは、それを「要素技術の統合」という新たな視点からやったということだと思います。大橋 私としては、最終的な目標があれば、自分の今やっている研究も人生変わるくらいの行動ができるのに対して、コアが売り出せなかったら、自分ごと沈没するという感じなのかなと。世の中に出せる技術にするというポイントでは、私としては前者のやり方のほうが優れていると思いますが。大木 どこに興味があるかということでも違ってくると思います。そのもの自体を研究対象として、自分がその研究をやりたいんだという人と、こういうものをつくりたいのだという人、どちらも私はいてもいいと思うのですが、世の中に出せる技術という意味では確かに大橋さんの言われるとおりかもしれません。加藤 そのあたりをうまくリンクさせていく意識を持つことが大事だと思うのですが、どうしてもそこまで至らないケースが多い気がします。講義の中でトヨタの方がおっしゃっていましたが、シーズを持っていろいろなところに出歩いていくといった「現場の共有」を、研究者側からしていかなくてはならないことをこのスクールで痛感しました。遠藤 研究を進めるにおいて、ゴールの設定を間違えていたら、何をどんなにスピードを速くしようが、予算をつけようが、うまくいきません。私にとって要素技術は、ゴールに対するスピードを加速するための技術というイメージがあります。一方、強いコア技術が見つかるとさらにゴールは設定しやすいと思います。なければ、技術を進めるためにいろいろな課題を抽出して、その課題に対してアプローチし、ゴールに進めていく。Synthesiologyの論文は、どのように研究のスピードを加速するのか、社会貢献するための技術を出していくのかという道筋について、構成的に書いているのかなと思いました。赤松 北さんらのエクセルギー解析の論文も、セラミックスがコア技術で、公平に製造プロセスを評価するという観点で書いていますが、その裏には「セラミックスがいい」と言いたいような気もするし、それはどうですか。居村 中部センターはセラミックスの研究拠点として有名なところですが、北さんらは自分たちの技術を売り出したいのかというと、この論文はセラミックスを前面に押し出すということは書かれていません。逆に、セラミックスのリサイクルが困難という懸念も書いています。技術を単に推し進めるだけではいけないという、要は一歩下がった視点から見るということを書いた論文は稀だと思いました。研修生がSynthesiologyに期待すること赤松 最後に、Synthesiologyに書いてほしいこと、期待や提言などについて教えてください。遠藤 知財関係に関しては全然書いていません。書きづらいということもあるし、生臭い部分も出てくると思うのですが、実際に実用化まで持っていこうとすると、知財は絶対関わってくるので、どのポイントで知財を考えていくかということについて書いた論文があるといいと思います。具体的には、コア技術があって、研究を進めるとどこのポイントで特許をとったほうがいいとか、そういうところに関しても記述があればと思います。加藤 各要素技術の抽出について、論文によっては当たり前のように書いているケースがあります。このジャーナルは 「いろいろの分野の人が読者」というコンセプトがあったので、例えばどのような選択肢の中から一つの要素技術を選んだのかが簡単にわかる技術マップのようなものがあると、別の分野の人も読みやすいのではないかと思いました。居村 一つの技術をイノベーションとして見いだせたから、Synthesiologyの論文になっていると思うのです。では、どうやってそれをイノベーションと見いだせたのかというポイントをずばり聞きたい。人とのコラボレーションもあると思いますし、ドキュメンタリーなところもあるかもしれませんけれども、そういうのも聞きたいです。赤松 確かに人との関係や体制づくり等々あると思いますが、それが論文の内容として適切かどうかというのは悩ましいところで、書かれていても真似できるものでもないし、運が良かっただけにも見るかもしれない。プロジェクト型だとある程度並行的に役割分担してできるけれども、所内の研究グループくらいの単位になるとそれほど並行的にはできなくて、一緒にやってくれる人をどうやって探しながら進めていくかというところがポイントになるという気もします。加藤さんが読んだ大串さんの論文も、企業の人をいかにうまく巻き込むかということがありましたね。
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