Vol.2 No.2 2009
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−180−Synthesiology Vol.2 No.2(2009)座談会:シンセシスな研究についてクト型ですね。低コストでつくりたいからモールドですることがどこかで合意されて、それに必要な技術を整理するという形でやられていたと思います。ゴールが決定されていて、それを実現するために何が必要だということを考えて、それを攻めたというタイプの論文は他にありますか。大橋 qwikWebは、初めに曖昧ながらも「簡単に使えるコミュニケーションツールの作成」というゴールがあって、手当たり次第、それに関する技術を集めていったという、まさにそのタイプの研究だと思います。長田 私が読んだ浅川さんの論文も、企業で有機ナノチューブを使ってもらうことが最終目標になっています。有機ナノチューブが合成された当時はまだまだ高価なものだったのですが、経済性、量産性、安全性、その評価と用途開発を行って、実用化に結びつけていったというところが同じだと思います。河合 目標は「標準化させる」というところですから、そのアプローチとして、絶対測定と比較測定を産総研で開発していったという点では似ていると思います。加藤 私が興味を持った大串さんの論文は 「統合技術型」でしたが、大串さんは4種類のコア技術があって、それを再生医療の早期実現に向けて統合したと記述されています。それぞれ他の要素を抽出して、最終的に再生医療へと統合されたのかもしれないですし、構成は記述の仕方によって変わってくると思います。赤松 大串さんは再生組織をつくるという研究はもちろんやっているのですが、この論文では、いかにコンタミネーションを減らすかとか、成長をモニターしようというふうに、製品化するために必要なコアとなる組織再生技術以外のところを書いていますね。松廣さんの読んだ、コージェネレーションシステムの論文は、「材料ありき」ですか。松廣 逆で、「シーズをいかに活かすか」というところをずっと考えて、いかに実用化に結びつけていくかということだと思います。長田 先ほど、「ゴールが決まっている(戦略的選択型)」タイプの論文で紹介したのですが、浅川さんらの論文はブレークスルー型の構成にもなっています。有機ナノチューブというおもしろいシーズがあって、これをいかに実用化に結びつけるか。松廣さんの読まれた舟橋さんらの論文と共通するところだと思います。菅沼 AD法も構成のスタイルとしては、有機ナノチューブやコージェネレーションシステムと似ている形だと思います。結果は少し違うかもしれませんが、ファクトなり技術があって、それをどう応用していくか、選択していくという意味では一緒です。岡崎 不凍タンパク質も実際に使ってみて、「安定でした」という実験例も出しておられましたので、そういった意味では「見せる」というのは共通したポイントだと思います。加藤さんが「書き方で変わる」と言われていましたが、量をつくって、そういう方向を目指すのだというシナリオで引っ張られているところは多分に感じました。ですが、やはり不凍タンパク質の研究がしたかったのではないかと思います。大量に見つかった点でブレークスルー型であり、応用・利用を模索する方向に速やかに移行できて、大量精製、そして実際に使ってみせるという仕事に移れたのではないかという気がします。赤松 不凍タンパク質を研究している段階から、大量合成したらそういうのに使えると思うところに、何か飛躍というか、アイデアがあったということでしょうか。岡崎 タンパク質以外のものでそういうふうに利用されているものが既にあって、そういった用途が見えていた。類似な機能を持ったタンパク質であるから、そういう用途も量さえこなせれば、というのはわりと自然な流れではないかと思いましたし、飛躍は感じませんでした。死の谷を越えるには、コア型とゴール型のどっちの方法が有利?大橋 これまでに、ゴールを目指すという方法と、コアを売り出すという、二つの方法が出されましたが、「死の谷を越えるには」どちらが有利なのでしょう。今までの話の流れで、左から遠藤、大木、河合の各氏

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