Vol.2 No.2 2009
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−179−Synthesiology Vol.2 No.2(2009)座談会:シンセシスな研究についてくるという発想は、現状では見にくかったので、この論文を研究の次のステップの参考にさせていただきました。低コストでないと企業では採用されない赤松 製造といっても個別の製造プロセス自体だけでなく、低コスト、大量につくるということも大事な要素ですね。大木 企業に行って一緒に研究をして、初めて、低コストでないと採用されないのだということが身にしみてわかりました。低コストをいかにして実現したか。目標の立て方から、目標に対する課題の抽出の仕方、そして課題を解決するための要素技術の選定とそれの統合の仕方を学びたいと思いました。長田 企業へのサンプル提供と安全性評価という段階を経ないと実用化には至りませんが、サンプル提供と安全性評価でかなりの量が必要になってきます。実用化に至っては、キロ、トン単位で必要になってくる。コア技術としての大量合成は実用化のために必要な要素です。試薬会社の供給価格が安いほど豊富であるというシンプルな考えがおもしろく、早い段階から安全性に注目したことで実用化に早く結びついたことを選んだ論文から学びました。岡崎 私の読んだ論文も、シナリオとしては大量精製がカギで、量を確保することによって開けてくるその先が非常に典型的な感じがして、不凍タンパク質への興味とは別に、シナリオの部分もおもしろく読むことができました。やはり量を確保しないとものをつくれませんし、果たして使えるのかという安全性の評価も進まないということで、「量」は産業化において大事だと思います。また、製造プロセスでは、コストにも関係しますが、「既存のラインを使えるか」という要素も大きいと思います。全く新しいものを生み出すのであれば新しい製造プロセスで良いと思うのですが、既にあるものに取って代わるとなると、なかなか大変だろうと思います。既存のラインを使うことが前提にある場合も多いと思います。他の人たちに自分の研究に興味を持ってもらう松廣 舟橋さんの論文では、シナリオを立てて、いろいろ技術課題をピックアップしています。統合技術という点では深くは書かれていなかったのですが、大阪ガスとのコラボレーションによって進めていったということなので、個々の技術開発においては、他の機関の専門家をいかに引き込むか、ということが大事なのだなと感じました。最後にモックアップをつくって発電を実証したのは大きな成果だと思います。また、コージェネレーションシステムを考えると、一次エネルギーを投入してどれだけ回収したか、有効利用したエネルギーは何%か、どれくらい上昇したかというのが最終的な目標なので、そういう点での総合的な評価もしてほしいと思いました。大橋 私が読んだ江渡さんのコンピューターソフトの研究論文は、独特なスタイルをとっているところが刺激になりました。アクセス解析による定量化や、またユーザーを巻き込んで、いわゆるベータテストでいろいろな人に使わせるという、「他人に研究を手伝わせる」という方法があることは結構おもしろかったです。赤松 河合さんが読んだ藤井さんの論文は、アルコール産業における振動式密度計の導入、アボガドロ定数の精度向上を背景とした、安定した固体材料による標準ですね。河合 産総研として計量標準は大切なミッションになっていますが、 私は性能評価のための標準化という点から、藤井さんたちのグループがどのように密度の信頼性を確保していったのか、トレーサビリティ体系をいかにしてこのグループが構築していったかという手法をこの論文から学びたいと思いました。コア技術を社会に活かすための構成学的ポイント赤松 社会に技術を活かすためのシナリオも含めて、論文のどういうところがポイントだったのでしょうか。大木 初めに目的とするものがはっきりイメージとしてありますから、それを実現するためにどこがネックになるかをあらかじめ明確にしておいて、課題をかなりはっきりと抽出し、どのようにしたら短時間で効率的に解決できるかを意識して構成しています。具体的には、家電メーカーが得意な分野、材料メーカーが得意な分野、あるいは評価が得意な分野というふうに、それぞれ得意な方たちに配分することを最初から意識して構成していたところが、私はポイントだと思います。赤松 これは、産業界、大学と産総研とで行ったプロジェ左から長田、大橋、松廣、菅沼の各氏

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