Vol.2 No.2 2009
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シンセシオロジー 座談会−176−Synthesiology Vol.2 No.2(2009)産総研イノベーションスクール生との座談会シンセシオロジー編集委員会産総研では、所内のポスドクをイノベーション人材として育成する「産総研イノベーションスクール」を2008年7月31日に開講しました。本座談会は、最終講義の一つとして2009年3月に実施したものです。スクールの受講生に、これまで刊行されたSynthesiologyの中から興味を持った論文を選んで読んでいただきました。自分の研究に関係あるテーマを選んだ人もいますし、全く違う分野のテーマを選んだ人もいますが、ユーザーの視点や、製造するためのコスト、安全性、環境負荷等々の広い観点から、自分の研究を見る手がかりになっています。ここでは、なぜその論文を選んだのか、論文のポイントは何か、普段読んでいる学術論文とどう違うのか、Synthesiologyから何を読み取ることができたか、価値ある点はどこか、今後、Synthesiologyに何を期待するかについて討論しました。シンセシスな研究について赤松 産総研イノベーションスクールで、皆さんにSynthesiologyの中から関心があるテーマの論文を選んで輪講形式で3回にわたって発表していただきました。皆さんがプロの職業研究者として活躍するための勉強の一つの材料として提供させていただいたわけですが、どの論文を選んだか、なぜそれを選んだかということをご自身の研究も含めて紹介していただけますか。なぜ、その論文を選んで読もうと思ったのか居村 私が読んだのは産総研中部センターの北さんらの『製造の全工程を考慮した資源およびエネルギー利用の合理化指針』(1巻3号)という論文です。私自身、半導体製造技術そして評価技術に関する研究を行ってきました。1947年にトランジスタが発明され、半導体は半世紀以上たって巨大産業になりました。しかし、数多くのデバイスがあり、しかもそれぞれのデバイスに対して製造工程がいくつもあるということで、果たしてファブ全体とデバイス関連に関してすべて把握している人はいるのだろうかと考えました。また、半導体では“コスト”という言葉をよく聞きます。“コスト”とは何を指針に計算されているのか。どうすればコストを下げて効率の良いデバイスを提供できるか。このエクセルギー解析という一つのツールを通して、参考にできることがあるのではないかと思いました。加藤 私は現在、新しい材料を用いた分析技術に関する研究に携わっていますが、もともとのバックグラウンドは合成化学で、無毒性で人体にやさしいバイオマテリアル分野への興味から再生医療学会に所属していることもあって、関西センターセルエンジニアリング研究部門 大串さんらのグループの『実用化を目指しての再生医療技術開発』(1巻3号)を選びました。再生医療関連の学会に行くと、「早期に産業展開しよう」とうたっているものの、再生医療技術の事業化が実を結ばないということが耳に入ってきます。この論文は、まさになぜ事業化が難しいかという問題を抽出して展開しているのではないかと思います。岡崎 私が選んだのは、北海道センターの津田さんらの 『不凍タンパク質の大量精製と新たな応用開拓』(1巻1号)の論文です。今、私はOJT先で抗体や酵素などのタンパク質を扱っていますが、その安定性には大変気を遣っていま座談会出席者赤松 幹之(研修生)居村 史人加藤 大岡崎 敬菅沼 直俊松廣 健二郎大橋 昇長田 英也河合 信次大木 康太郎遠藤 聡人人間福祉医工学研究部門 研究部門長エレクトロニクス研究部門生物機能工学研究部門セルエンジニアリング研究部門光技術研究部門エレクトロニクス研究部門太陽光発電研究センター健康工学研究センター太陽光発電研究センターエネルギー技術研究部門先進製造プロセス研究部門
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