Vol.2 No.2 2009
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−175−Synthesiology Vol.2 No.2(2009)インタビュー:米国の固体照明による省エネ政策と標準研究すが、産業界のニーズといいますか、そういうものに触れながら研究してもらうといいのではないかと思います。専門外の人もわかることが大切小野 標準化で成果を出していくときに、それをどういうレポートの形で出すかということも重要と思っています。NISTは今まで専門技術書(モノグラフ)やテクニカルノートなど、いわゆる研究論文とは違う形でいろいろ成果を発表していますが、そういうものも非常に価値があるというふうに思っておられるのでしょうか。大野 もちろんです。科学技術的な論文も大切で、それも出さないといけないのですが、一方で、もう少し一般向けの記事も書いています。最近では、インターネットで出版するようなLEDレビューやLEDマガジンにも投稿しています。演色性や測定の問題をテーマにしたりしていますが、産業界の方からいろいろな反響があります。それ以外にNISTがメディアに対して出している記事があります。2ページくらいのものなのですが、標準の仕事が2つ終わったときと、ハイパワーLEDの測定方法ができたときに出しています。これは専門でない方もわかるように書くのですが、産総研のSynthesiologyと少し似ているかもしれません。それはNISTから非常に高く評価されています。小野 まさにおっしゃられたとおりで、Synthesiologyは理学、工学、農学、薬学をカバーし、ライフサイエンスやエレクトロニクスから計量標準まで全部含んでいます。そのような編集方針を立てているのですが、他の分野の人たちからも読める形になっています。大野 そうですね。私も読ませていただいて、自分の分野と全く異なる分野の記事でも結構読めるなと思いました。小野 ありがとうございます。まさにそこがこの雑誌を出すときに気にしていたところなのです。私も環境や地質の分野の論文の査読者になっているのですが、実は論文を読んで内容がわかりましてね。わかったということ自体が驚きで、さらに驚いたことに査読意見も書いてしまいました。大野 著者とディスカッションされたのですね。それは楽しいですね。さまざまな課題に研究者コミュニティが取り組む小野 地球環境問題などいろいろな問題を抱える中で、科学技術の果たす役割はとても大きいものがあるのですが、科学者あるいは研究者自身がお互いに意見交換できなくて、それぞれのチャンネルを通しては社会につながっているのだけれども、コミュニティとしての意見がなかなか出せないという感じがしていたのです。その中で気候変動に関する政府間パネル(IPCC)に多様な研究者が集まって協力してレポートを出したり、標準化していく中でさまざまな技術者や研究者と意見交換して一つのものをつくりあげていったり、というのはすばらしいことだと思います。大野 標準はあって当たり前で、地味な分野といいますか、目に見えて役に立つということは難しかったわけです。そういう中で、この固体照明の標準の課題というのは大きな変革のチャンスといいますか、光源の歴史で見ても100年に1回くらいの出来事ですし、ニーズとしてもすごく大きいと思うので、そこをうまく捉えていけば、国立研究所として大きく貢献できる仕事はたくさんあると思うのです。測定技術もそうだし、一部、視覚の研究にも踏み込んで、エネルギー省を中心とした大きな夢に結びつくので、それに貢献していきたいと思っています。田中 日本も同じニーズ、問題意識を持っているのですが、政策的に明確なメッセージが必要かもしれないですね。小野 きょうは大変いいお話を伺いましてありがとうございました。Synthesiologyとの接点も随分あったように思いました。大野 こちらこそ、私も大変参考になりました。ありがとうございました。略歴大野 ヨシ(おおの よし)(大野 義弘)現在、米国メリーランド州、国立標準技術研究所(NIST)、Optical Technology Division、 Optical Sensor Groupのグループ長。1977年京都工芸繊維大学電気工学科卒業。1977年松下電器産業(株)照明研究所に入所、測光測色技術を担当。1984年から2年間、米国NIST(当時NBS)に留学、絶対測定積分球などを研究。1992年に米国に移住しNISTに移籍、 Photometry Project Leaderとして赴任。2003年よりグループリーダー。現在、国際照明委員会(CIE)第2部会長を務めるほか、ANSI、 IESNA(北米照明学会)、CIPM−CCPR(国際度量衡委員会測光諮問委員会)などで活躍。

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