Vol.2 No.2 2009
87/108

−174−Synthesiology Vol.2 No.2(2009)インタビュー:米国の固体照明による省エネ政策と標準研究つの波長で構成していこうということですね。そして、CRI指標ではなくて、CQS指標を使っていこうということですね。ところでCQS指標は日本語で言うと、どうなりますか。大野 Color Quality Scaleの日本語は考えたことがなかったです。考えておかないといけませんね。小野 「色質度」とかでしょうか。大野 あ、「色質度」はいいですね。この研究プロジェクトでは、人件費のほかに設備関係に50万米ドルくらい予算がいただけたので、実際の部屋全体を照らしてスペクトルを自由に変えられるという世界初めての実験設備を今つくっています。(図4)小野 なるほど、ブースからルームへ、ですね。大野 部屋にすると、実際にその中で仕事をしたり、会話をしたり、顔色が見えるという、非常に大きな利点があります。そこまでやらないと最終的な確認にはなりません。今実験室にあるのは仮に納められたシステムで、RGBの3色しかないのですが、2009年2月に25色のピーク波長に分かれたコントロールができるシステムが納入されます。いろいろな照明に関する色覚の研究ができるので、固体照明に大きく貢献できるのではないかと思っています。NISTにおける本格研究田中 これまでの固体照明に関するエネルギー省の政策に関して、本格研究としての成果が出てきているということですね。大野 そうですね。最初にお話しました色度の工業標準と、もう一つ LM−79という試験方法の工業標準に貢献できたことは大きな成果だと思います。色度というのは光の色ですが、光の色がいいポイントにあっても、物の演色がいいとは限りません。両方が関連しているのですが、光の色の方をまず工業標準として出したということです。次は演色性の標準です。他にも、私の担当ではなかったのですが、例えば寿命の試験法の工業標準があります。発光ダイオードの寿命は3万時間、5万時間と長いのですが、産業界では6,000時間測って3万とか5万時間まで外挿しますので、寿命の不確かさが大変大きい。エネルギースターの締め切りがあったので予測方法ぬきで出版しましたが、次のステップとしてどこまでやるかということは今後の課題です。小野 新しくできた技術は、今後、データが積み重なっていけばより良い方向にいくでしょうね。こういう工業標準をつくるに当たって、日本のメーカーや研究者の貢献はどのようなものですか。大野 米国規格協会や北米照明学会(IESNA)はアメリカの標準化団体ですから、日本からの参加は基本的にはありません。ただ、アメリカに会社を持っている日本の企業は参加することはできます。国際照明委員会にはもちろん世界中から参加しているのですが、LED照明に関しては日本のメーカーの方の積極的な参加はまだないようです。産業界のニーズに触れながら研究する小野 測光技術は基礎的な研究対象であると同時に、世界中が関心を持っている省エネルギーの問題ですね。そこをつなぐ、非常に大きなお仕事をされていると思いました。「研究をやりつつ標準化する」ということを実践されておられますが、大野さんはNISTでグループリーダーをしていらっしゃるので、若い研究者の生きざまも考えなければいけないというお立場にあると思います。研究者としても成立し、また社会への貢献も十分してもらいたいという中で、どんなふうに配慮されておられますか。我々も同じ問題を抱えているものですから、アドバイスをいただければと思います。大野 委員会などに出て、いろいろな問題があるということがわかれば、こういう研究をしないといけないということが明確になってくると思うのです。いろいろな質問があったり、要望があったりして、私自身も委員会の会合でいろいろなことをいつも学んでいます。若い研究者もできるだけそういう会合に連れていったりしています。もちろん研究としては自由にやってもらう部分もあるのでNISTのスペクトル可変照明実験設備・ 開発中・ 現在はRGBシステム・ 2009年2月に25色チャンネルのシステムが完成予定図4 NISTのスペクトル可変照明実験設備

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です