Vol.2 No.2 2009
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−173−Synthesiology Vol.2 No.2(2009)インタビュー:米国の固体照明による省エネ政策と標準研究いということですね?大野 そうです。CRI指標80でそういう製品が市場に出たら、非常に問題になると思いました。 我々は、これに関連する研究を数年前からやっていたのですが、「イノベーション計測科学」というNISTの所長が出す研究予算のコンペに応募しました。書類選考で物理部門で選ばれて、最後はNISTの研究部門長たちの前で私が発表したのですが、これが通ったのです。小野 それはおめでとうございます。大野 最初は検査用のブースで細々と実験をやっていたのですが、中に物を置いてRGB(赤、緑、青)のスペクトルを少し変えると、色の見え方が大きく変わることがわかりました。CRI指標が82で、数値は結構いいのですが、赤が茶色になりました。これはシミュレーションが正しいということです。(図2)田中 そうですね。82と71を比べると、むしろ71のほうが鮮やかですね。大野 71は非常に鮮やかで、中に手を入れても非常に良く見えます。しかし、エネルギースターでは75ないとだめなのです。CRI指標82の方がエネルギースターに通ってしまって、これは非常にまずいことになります。エネルギー省からは「新しい工業標準を早くつくってくれ」と言われています。小野 数値が実態に即していないということですね。研究と標準化の一体的推進大野 一部は論文に出していますが、そういった問題をすべて解決できるような新しい指標をつくりました。「CQS」(Color Quality Scale)という指標が私どもが新しく提案しているものですが、これでいくとCRI=82がCQS=74に、CRI=71がCQS=83にというように逆転するのです(図3)。しかし、新しい評価方法は工業標準にしないと意味がないし、工業標準にならないと使ってもらえない。しかも演色性は、歴史的に国際的な標準です。それで国際照明委員会に提案して、委員会をつくって、そこに私どもの方法を提案して、議論を進めています。国際標準なり、実際に産業界に使っていただいて、初めて研究が実るということです。小野 まさにそうですね。私たちはそれを「研究と標準化の一体的推進」と言っています。研究が終わってから標準化に着手するというのではなく、標準化の要請があって、それが研究に反映される。そして、その結果をまた標準化にフィードバックするという、両方が一緒に走っていかないとだめなのだということを産総研では言っていますが、そういう良い例ですね。大野 その通りだと思います。今回は、特にエネルギー省のエネルギースター がもう走り出しているということで、今はそれに急かされてCRI指標を使っているのですが、エネルギースターに限らず、固体照明の産業全体がどんどん進んでいますので、標準が追いつかないと、間違った方向で無駄なものをつくってしまう恐れがあります。今、白色発光ダイオードは青の発光と蛍光体を組み合わせる方式が主流なのですが、RGB方式では値段が高く、 CRI指標が悪くて色が良くないという話がよくありますが、見た目はそんなに悪くない。特にRGBをやっているメーカーは、非常に興味を持ってサポートしてくれています。小野 RGBというのは比較的狭いスペクトルを持った3(CRI>75)400700600500400700600500RGB-2 色のコントラストを強調RGB-1 CRIとエネルギー効率で最適化RGB LEDの演色性CRI (Ra) = 82CRI (Ra) = 71400700600500400700600500RGB-2 色のコントラストを強調RGB-1 CRIとエネルギー効率で最適化RGB LEDの演色性CRI (Ra) = 82CRI (Ra) = 71CQS = 74CQS = 83図3 RGB LEDの演色性図2 RGB LEDの演色性
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