Vol.2 No.2 2009
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−172−Synthesiology Vol.2 No.2(2009)インタビュー:米国の固体照明による省エネ政策と標準研究大野 そうです。固体照明はエネルギースターを2008年10月から申請できる状態になりました。2年前からそれらの標準の開発を始め、私どもNISTも積極的に参加しましたし、一部、主導的な役割を果たしてきました。標準がなければ推奨できない小野 NISTは、計量標準だけでなく工業標準をつくるのにも協力しているわけですね。大野 ええ、工業標準では、さきほど質の話をしましたが、実際、照明光源の色度については、全体が黄色っぽくなったり、緑っぽくなったりすると非常に嫌われますし、返品の原因にもなる。これは非常に重要だということで、まず固体照明光源の色度の標準を作る作業部会が米国規格協会(ANSI)に作られ、私がそのリーダーになって標準をつくりました。小野 私も感覚として、黄色い部屋にはいたくない、緑の部屋も落ち着かない。赤か青だったら、まあ、落ち着いていられる。大野 そうなのです。それをきちんと定義して、工業標準として決めて、エネルギースターで守ってもらうということです。測定について、米国照明学会は標準文書(LM−79)を出版していますが、これはエネルギースターで参照している試験法の規格です。これも私が主導したものですが、例えば光束をその単位ルーメンを使ってどのようにして測るか、積分球をどのようにセットして、どういう検出器を使うのか。積分球にはフォトメーターと分光器を使うものと両方あるのですが、分光器を使った方が産業界での精度はずっといいわけです。校正する計量標準としては分光放射束の計量標準が必要になりますが、この開発をNISTで数年前からやっていまして、それがキーポイントの一つになっています。要するに、この方法を推奨しようと思ったら、そのための計量標準がないと、それを使った方法を文書にのせて「この方法を使ってください」とは言えないわけです。小野 分光測定が大事だということは産総研でもよく認識されていまして、そちらの方向に踏み出してきたところです。 評価数値を上げれば高品質な製品になるのか大野 もう一つ、発光ダイオード(LED)光源のスペクトルに関することですが、照明光源の演色性を評価する場合、CRI(Color Rendering Index)という指標があります。100点満点で、80点以上が屋内照明に推奨されています。この指標は蛍光ランプのために40年くらい前につくられたものです。ところがこれを発光ダイオードに使うといろいろな問題があるということが、私のシミュレーションプログラムでわかりました。スペクトルを可視域の真ん中に集めると光束の効率(ルーメン/ワット)の値は高くなりますが、一般に演色性は低下します。企業はルーメン/ワットの値で他社と競争をしているので、例えば、CRI指標を80としてルーメン/ワットが最も高くなるスペクトルを求めると、赤の見え方が非常に悪くなり、 CRI指標が80でも屋内照明用としてとても使えない場合があることがシミュレーションでわかりました。(図1)それから、スペクトルをある程度操作することによって、色のコントラストを上げることができます。たとえば、黄色いスペクトル成分を吸収するネオジウム電球が実際に売られていますが、物が鮮やかに見えるのです。ところが、この電球の評価指標は非常に低くなります。しかし、私は、これは実用に使う光源としては非常にいいのではないかと思っています。ところが、産業界でものをつくるときは、評価指標の数値を上げるように研究開発しますので、下手をすると間違った方向に開発がいってしまう恐れがあります。小野 ここでは指標になっている工業標準自身が良くな LER = 415 lm/W演色評価数の問題高い得点でも飽和色がきれいに見える保証がないRGBモデル(Ra=80)くすんだ色3-LEDモデルピーク波長 : 457、540、 605 nmLEDRef.CRI a = 80R 9 = -90R400700600500Ref.TestCIELAB466/538/603図1 演色評価数の問題田中 充 氏

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