Vol.2 No.2 2009
83/108

シンセシオロジー インタビュー−170−Synthesiology Vol.2 No.2(2009)インタビューシンセシオロジー編集委員会米国立標準技術研究所(NIST)で測光標準の研究をされているヨシ大野さんが2008年12月に産総研を訪問された機会に、シンセシオロジー編集委員会の小野委員長と田中委員がインタビューしました。照明分野で今後大きな省エネルギー政策を実行していこうとする米国政府の意欲的な計画と、それに応えていく標準研究者の意気込みが伝わるお話が聞けました。またNISTでの大野さんの研究と産総研の本格研究との間に多くの共通点があることが印象的でした。米国の固体照明による省エネ政策と標準研究本格研究とSynthesiology 小野 産総研は2008年からシンセシオロジーという学術誌を出しています。現代における科学研究と社会とのつながりを考えてみますと、科学的に優れた発見や発明があると世の中の注目を浴びて、その研究に大きな研究費が充当されます。ただ、通常は、発見や発明がそのままいわゆる“製品”として社会に出ていくことはまれで、その後、人々の関心が薄れた状態の中で一つひとつ現実のものにしていくという、大変地道な努力が必要となる時期があります。それは研究者にとっては「悪夢の時代」といいましょうか、人々の関心は薄れてゆき、研究費もつかなくなってくる。産総研のような公的研究機関は、研究成果を社会に生かすために悪夢の時代に挑戦しよう、我々の使命はむしろそこにあるのではないかと考えています。現代においては、基礎研究と同時に応用研究の価値が非常に大きくなっています。基礎研究を個別の狭い分野でやっているだけでは、地球環境問題やエネルギー問題、あるいは健康の問題、食糧の問題など、社会的な問題を解決できないのではないかとみんなが何となく感じています。従来の「応用研究」と言ってきたところをもっと活性化しないと、科学が現実の社会的な価値に結びついていかないのではないかと思っています。従来の研究論文の書き方は、事実とそこから導かれる結論を書いて、論理整合性を確認する。「それだけ」と言ってしまってはよくないのですが、社会的な価値とのつながりを意識しないで、それぞれの狭い分野において新しい事実を積み上げて論理的完成度を高め、そこに価値があると思って我々は論文を書いてきたのですが、研究の毎日の現場はもっと生々しくて、社会的な要請や政府の政策と強くリンクしている部分があるわけですが、その部分はなかなか書けません。大野 そうですね。論文のイントロダクションとして数行書くくらいです。小野 おっしゃるとおりです。論文のイントロダクションは読んでおもしろいものですが、それが論文の価値を決めるものではありませんでした。研究者は社会の要請に真摯ヨシ 大野:米国立標準技術研究所 物理研究部門 光学技術部グループ長小野 晃:シンセシオロジー編集委員長・産総研副理事長田中 充:シンセシオロジー編集委員・産総研研究コーディネータ

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です