Vol.2 No.2 2009
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研究論文:高感度分子吸着検出センサーの開発(藤巻ほか)−151−Synthesiology Vol.2 No.2(2009)で30分間エッチングを行った。このときのフッ酸の温度は19.0 ℃とした。図7はエッチング後の検出板の表面及び断面SEM写真である。図に示すように、直径約30 nmのナノ穴が観測される。また、この穴はAu層まで貫通していることが分かる。エッチング後の導波路層の膜厚は400 nmであった。作成した検出板にS-LAH66製の直角三角形プリズムを、マッチングオイルを介して密着させ、クレッチマン配置によって、反射率の入射角依存性の測定を行った。光源にはHe-Neレーザー(波長:632.8 nm、S偏光)を用いた。導波路側には検体を保持するための液セルを配した。導波路層表面にビオチニル基を表面修飾し、ビオチン用語4に対するストレプトアビジン用語5特異吸着による反射率変化を観測することによって、検出感度を評価した。ストレプトアビジンはリン酸緩衝液中に溶かし、その濃度は100 nMとした。図8に測定結果を示す。図8(a)はナノ穴を持つ検出板、図8(b)はナノ穴を持たない検出板を用いて測定した場合の結果を示す。白丸は液セル中をストレプトアビジンを含まないリン酸緩衝液で満たした際の反射特性、黒丸はストレプトアビジンを含むリン酸緩衝液を液セルに注入し、ストレプトアビジンがビオチンに吸着した後の反射特性である。いずれの場合も、導波モード励起による負のピークが観測され、ストレプトアビジン吸着によって、このピーク位置がシフトすることが分かる。ナノ穴を持つ基板によって得られたストレプトアビジン吸着によるこのピークのシフト量は0.38°であった。一方、穴を持たない基板でのピークシフト量は0.06°であった。このように、穴あけによって大幅な感度の向上が得られることを示すことができた。しかしながら、図8(a)に見られる様に、ナノ穴の形成によって、ピークの半値幅が広がり、深さが浅くなってしまった。これはエッチングによって、導波路層表面が荒れてしまったことによるものであると考えられる。実際、図7に見られるように、エッチング後の導波路表面には粒子状の凹凸が観測される。この問題は、3.3章に記載のモノリシック検出板の開発によって、大幅に改善できた。3.2 反射膜材料EFC-WMセンサーの感度は、反射膜の光学特性に大きく依存する。そこで我々は、シミュレーションによって様々な反射膜材料に対するセンサー感度の予測を行い、また、実際に多種のセンサーを作製し検証を行った。図9(a)、(b)、(c)は、それぞれ反射膜にAu、W、Siナノ穴500 nm1 µm200 nm200 nmシリカガラス導波路基板ガラスAu (b)(a)吸着後吸着前5857.55756.50.30.40.50.60.70.80.9反射率入射角 (度)55.55554.5540.30.40.50.60.70.80.9反射率吸着後吸着前図6 Si熱酸化膜に形成したナノ穴の表面(左)及び断面(右)のSEM写真。図7 ナノ穴を形成した検出板の表面(上)及び断面(下)のSEM写真。図8 ナノ穴あり(a)、及びナノ穴なし(b)の検出板を用いて観測した、ビオチン−ストレプトアビジン吸着前後の反射特性。
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