Vol.2 No.2 2009
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研究論文:セラミックス製造の省エネプロセスの確立を目指して(渡利ほか)−144−Synthesiology Vol.2 No.2(2009)とである。研究開発の初期段階で、研究の境界条件および開発する技術のコアが分かっているのなら、研究資源を効率よく投入でき、研究開発の速度をかなり向上できる。しかし、製造プロセスは要素技術の集積と各技術間の連携により成り立っているため、コア技術の抽出に思った以上の時間がかかる。これらの問題を解決するには、早い段階で要素技術を体系化し、プロセスの連続性を確保するための課題とコア技術を抽出すべきであろう。これは、いわゆる産業展開の研究シナリオを作ることである。それにより、技術実用化にあたっての種々の課題が把握でき、さらにはそれらを解決できる処方案ができ、研究スピードを一段と増すことができると思う。しかし、我々が得る民間企業の材料およびプロセスについての情報は断片的である。そのため、産業技術を目指すテーマによって、その分野で長年の経験と幅広い知識を持つ人材を確保し、対象とする課題および背景を充分に理解し、産業展開のシナリオを書きながら研究開発を進めることが重要であると認識する。また、産業技術の公的研究機関に期待されるのは、何年たっても風化しない“普遍的な考え”だと思う。これは産総研が行う第2種基礎研究のアウトカムの一つだと考える。我々の研究では有機バインダー量の低減さらにはゼロ化という課題を設定したが、その問題の解決を通じてセラミックスの成形には原料粒子表面の水が強く影響をするという一般解を得た。製造現場から発生する研究課題に共同研究を通じて取り組む場合、個別企業への技術貢献や単発のサービスとなる場合が多いが、科学的な普遍性のある概念の構築を同時に考えることにより、第2種基礎研究のアウトカムは極めて意味あるものになる。本研究の最終ターゲットは、有機バインダー量のゼロ化である。我々は無機バインダーを用いることにより単純な押出成形に成功した。この技術の完成により、脱脂と排ガス処理の工程を経ないでセラミックスの製造が可能となり、その結果二酸化炭素排出削減量は約70 %となった(図2参照)。また、反応性バインダーもその量は通常プロセスのバインダー量に比較して1~2桁少ない量であるため、将来的には脱脂と排ガス処理の工程は必要がなくなることも考えられる。ここで見積もられる二酸化炭素排出削減量はセラミックス産業界にとってインパクトがある。ただし、部材の大きさおよび複雑形状度により、従来の有機バインダーの添加無しでは産業界の要求を応えることができないのが実状である。そのため、現状では開発したバインダー量に少量の有機バインダーを添加して成形する等の対応を進めている。開発した技術は既存のセラミックスの生産プロセスに対応できることから、現在積極的に技術の普及を目指してい参考文献[1][2][3][4][5][6][7][8][9][10][11][12][13]日本経済エネルギー研究所, 経済産業省/EDMC推計, 62-13 (2003).渡利 広司:セラミックスの低エネルギープロセス技術の最近動向, マテリアルインテグレーション, 19, 2-9 (2006).Y. Hotta, C. Duran, K. Sato, T. Nagaoka and K. Watari: Densification and grain growth in BaTiO3 ceramics fabricated from nanopowders synthesized by ball-milling assisted hydrothermal reaction, J. Euro. Ceram. Soc.,28,599-604 (2007).J. Qiu, Y. Hotta, K. Watari and T. Mitsuishi: Enhancement of densification and thermal conductivity in AlN ceramics by addition of nano-sized particles, J. Am. Ceram Soc., 89, 377-80 (2006).K. Watari, M. C. Valecillos, M. E. Brito, M. Toriyama and S. Kanzaki: Processing and thermal conductivity of aluminum nitride ceramics with concurrent addition of Y203, CaO and Li20, J. Am. Ceram. Soc., 79, 3103-8 (1996).T. Isobe, Y. Hotta and K. Watari: Preparation of Al2O3 sheets from nano-sized particles by aqueous tape casting of wet-jet milled slurry,J. Am. Ceram. Soc., 90, 3720-24(2007).Y. Kinemuchi, R. Ito, H. Ishiguro, T. Tsugoshi and K. Watari: Binder burnout from layeres of alumina ceramics under centrifugal force, J. Am. Ceram Soc., 89, 805-809 (2006).渡利広司, 佐藤公泰, 長岡孝明, 尾崎利彦:バインダープロセスと省エネ焼成技術, 新材料シリーズ, 環境対応型セラミックスの技術と応用, 13-27 (2007).K. Sato, Y. Hotta, T. Nagaoka, K. Watari, M. Asai and S. Kawasaki: Mutual linkage of particles in a ceramic green body through potoreactive organic binders, J. Ceram. Soc. Japan, 113, 687-691 (2005).K. Sato, M. Kawai, Y. Hotta, T. Nagaoka and K. Watari: Production of ceramic green bodies using a microwave-reactive organic binder, J. Am. Ceram. Soc., 90, 1319-22 (2007).C. Duran, K. Sato, Y. Hotta and K. Watari: Covalently connected particles in green bodies fabricated by tape casting, J. Am. Ceram. Soc., 90, 279-282 (2007).T. Nagaoka, C. Duran, T. Isobe, Y. Hotta and K. Watari: Hydraulic alumina binder for extrusion of alumina ceramics, J. Am. Ceram. Soc., 90, 3998-4001 (2007).T. Nagaoka, K. Sato, Y. Hotta, T. Tsugoshi and K. Watari: Extrusion of alumina ceramics with hydraulic る。我々は材料・プロセスをベースとして研究開発をこれまで進めてきたが、研究プロジェクトを通じて得た知見をもとに省エネ化を向上させる製造装置の開発も視野に入れ、研究開発を進めたいと考える。特に、材料・プロセスからの研究開発と製造装置からの研究開発の融合化を目指し、シナジー効果を誘導し、セラミックスプロセスの省エネ化に今後も貢献したい。謝辞本研究開発において、共同研究先の企業の研究者および技術者、さらには産総研の研究者などの多くの関係者の皆さまの御協力および御指導を頂いたことに深く感謝します。

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