Vol.2 No.2 2009
46/108
研究論文:部材の軽量化による輸送機器の省エネ化(坂本ほか)−133−Synthesiology Vol.2 No.2(2009)・鋳造用素材・塑性加工用ビレット材塑性加工に供する素材はできる限り清浄度の高い高品質なものである必要があり、最も川上に位置する素材の品質がその後の塑性加工品の品質とコストに大きく影響する。我々は、素材供給メーカーとして企業3社に減圧法による溶湯精製技術を移転し、高品質で低コストの素材ビレットの量産と用途開発を進めている。素材メーカーを複数社体制としたのは、素材の安定供給を図るためであり、その内の1社は大量生産を想定したビレット製造から押し出しまでの一貫生産が可能であり、もう1社は多品種少量生産が可能な鋳造メーカーで、将来の機械構造用部品としての需要をにらんで小回りのきく生産体制を目指している。図9の右上および左端中央にある写真に円柱状の棒材形状の塑性加工用ビレットを示す。・鋳造材難燃性合金は大気中で燃えにくいことから金属を溶かして型で固める鋳造においては、基本的に低コストでの鋳物製造が可能であるので、上記の鋳造メーカーと共同で各種機械部品に向けた鋳造技術の研究開発を進めている。鋳造そのものはアルミニウムと同様に行うことができ、特筆すべき点はAZ91合金ベースの難燃性合金の場合、大気中で生砂型への鋳造も可能なことである。ただし、難燃性合金は前出の特異な凝固組織により通常合金以上に湯流れ性が劣り、またアルミニウムや鋳鉄に比べて熱容量が小さいために凝固が急速であるので鋳造方法案や鋳造条件の問題が十分に解決されていない。実施にあたっては依然として技術蓄積や経験、ノウハウを必要とする。しかし、とにかくコストの面で有利であるので、今後さまざまな機械部品への応用が期待される。図11は最新鋭新幹線車両へ採用された荷棚受け部品の例である。難燃性合金AZX912のダイキャスト製で、鉄道車両に採用される世界初のマグネシウム部品である。・熱間押し出し形材アルミサッシのフレームのような複雑で一様な断面を持つ長い製品は、金属を加圧して穴の開いたダイスから押し出すことにより、効率よく量産することができる。複雑形状断面や中空などの形状が容易にできる押し出し材は基本的な工業素材である。難燃性マグネシウム合金も熱間での押し出し加工によって形材の製造が容易にできるので、上記のビレットメーカーとアルミニウム押し出し専業メーカーと2社体制で用途開発を進めている。現在、後者のメーカーから難燃性マグネシウム形材の実用化の第1号として、高速道路料金所のETC阻止棒用に角型パイプ材が製品化されている。これは、阻止棒の開閉速度の高速化に伴い、従来のアルミニウム形材では軸部からの破断が多発し軽量化が望まれたためであるが、当初はCFRP製であったものが交換後のリサイクルの問題と製品価格の観点から、さらに難燃性マグネシウム合金製に代替が進んだ例である。この用途では、単なる軽量化のためのアルミニウム代替ではなく、高比強度とリサイクル性という他にはない特性がキーになるという、材料代替の教訓的な興味深い例である。・熱間鍛造材強度や信頼性を向上させる目的で単純形状の金属材料を叩いて鍛えることを鍛造と呼び、金型で鍛造することにより品質の揃った部品を大量生産することができるので、工業的に重要な加工技術である。難燃性マグネシウム合金の鍛造は一般の合金に比べてより難しく、加工温度や加工速度を厳しく管理しないと容易に割れが発生する。しかし、あらかじめ熱間押し出し加工を施して微細な再結晶組織とした鍛造素材では鍛造性が飛躍的に向上し、ハンマ式鍛造機による高速成形が可能である。したがって製品によっては、予備押し出しという工程数が増加しても、トータルコストの面で有利となる可能性もあることから、現在、自動車部品メーカーと共同で開発を進めている。ただし、現段階ではいまだに製造コストの壁が高く、これを克服するためには3章2節で述べたように、原理原則まで立ち返った基礎的な研究が早急に求められている。・板材金属の板材はさまざまな形状に容易に加工できることから基本的な工業素材である。普通、回転する2つのロール図11 難燃性マグネシウム合金(AZX912)の荷棚受け部材図10 公設研連携による難燃性マグネシウム合金の加工技術基盤研究体制産業技術連携推進会議九州地域部会難燃性Mg合金加工研究会鋳造技術溶接技術プレス成形技術切削技術表面処理技術機能性付与技術参加県大 分福 岡産総研福 岡産総研産総研(福 岡)●産総研佐 賀福 岡熊 本鹿児島熊 本佐 賀Wall
元のページ