Vol.2 No.2 2009
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研究論文:安心・安全な次世代モビリティーを目指して(佐藤ほか)−124−Synthesiology Vol.2 No.2(2009)山本和彦,棚橋英樹,桑島茂純,丹羽義典:実環境センシングのための全方向ステレオシステム(SOS),電気学会論文誌C,121-C (5),876-881 (2001).佐藤雄隆, 山本和彦, 桑島茂純, 棚橋英樹, 王 彩華, 丹羽義典:移動体ビジョンを指向した小型全方向ステレオシステム(miniSOS)の開発, 画像センシングシンポジウム(SSII03) 講演論文集, 311-316 (2003).S. Shimizu, K. Yamamoto, C. Wang, Y. Satoh, H. Tanahashi and Y. Niwa: Moving object detection by mobile Stereo Omni-directional System (SOS) using spherical depth image, Pattern Analysis & Applications (2005).Y. Yagi, S. Kawato and S. Tsuji: Real-time omnidirectional image sensor (COPIS) for vision-guided navigation, IEEE Trans. Robotics and Automation, 10(1), 11-22 (1994).J. Kurata, K. T. V. Grattan and H. Uchiyama: Navigation system for a mobile robot with a visual sensor using a fish-eye lens, Review of Scientific Instruments, 69, Issue 2, 585-590 (1998).C. Mandel, K. Huebner and T. Vierhuff: Towards an autonomous wheelchair: Cognitive aspects in service robotics, Proc. Towards Autonomous Robotic Systems (TAROS2005), 165-172 (2005).Y. Satoh and K. Sakaue: An omni-directional stereo vision-based smart wheelchair, EURASIP Journal on Image and Video Processing, 2007, Article ID 87646, 11 (2007).佐藤雄隆,尾崎竜史,坂上勝彦:近赤外パターン光投影ステレオカメラを搭載したインテリジェント電動車いす,信学技報(PRMU2008-106),108 (263), 103-106 (2008).執筆者略歴佐藤 雄隆(さとう ゆたか)2001年北海道大学工学研究科博士後期課程修了。財団法人ソフトピアジャパンHOIPプロジェクト主任専門研究員を経て、現在、産業技術総合研究所情報技術研究部門研究員。前職で全方向ステレオカメラを開発。産総研に入所後、その障害者支援への応用に関する研究を進めている。他にロバストパターンマッチングに関する研究を行っており、これまで監視カメラによる人物の自動検出アルゴリズムの製品化などを行った。筑波大学大学院准教授(連携大学院)。博士(工学)。本論文では、研究計画、システムの設計・実装、実験・考察に関する部分を担当した。坂上 勝彦(さかうえ かつひこ)1981年東京大学大学院工学研究科博士後期課程修了。同年電子技術総合研究所に入所。以来、一貫して画像処理とその実世界応用に関する研究に従事。RWC(リアルワールドコンピューテリング)プロジェクト実世界知能技術分野の研究開発や障害者の安全で快適な生活の支援技術の開発等のプロジェクトに参画。現在、産業技術総合研究所情報技術研究部門主幹研究員。筑波大学大学院システム情報工学研究科教授(連携大学院)。1979年度電子通信学会学術奨励賞、1985年度情報処理学会論文賞、2006年IAPR(国際パターン認識連盟)Fellow。工学博士。本論文では、研究戦略に関する検討および全体の総括を担当した。[5][6][7][8][9][10][11][12]査読者との議論 議論1 ゴールの設定とそれへのシナリオについて質問・コメント(赤松 幹之:産総研人間福祉医工学研究部門)表題に明記されているように、本研究開発は電動車いすに限定するものではなく、新しいパーソナルモビリティーをゴールと設定したと第2章で述べられています。しかしながら、第3章以降に記載されているシナリオや技術は車いすへの適用という観点からしか説明がなされていません。要素の統合によって得られる機能の中で、新しいパーソナルモビリティーを意識したものが何であったかを明記してください。質問・コメント(内藤 耕:産総研サービス工学研究センター)この論文で提示されている技術群は、電動車いす以外への発展の可能性が高く、そのことは表題のみならず、第2章でも記述されています。一方、論文はこの電動車いすの試作機(プロトタイプ)開発を軸に、第1種基礎研究として、さまざまな要素技術の開発とその統合プロセス、評価結果が記述されています。この研究成果の普及に伴い形成されるこれからのパーソナルモビリティー社会像や、そこへのシナリオ、必要な技術課題等についての提案を追加してください。回答(佐藤 雄隆)ご指摘のとおり、要素の統合によって得られる機能の中で、何が新しいパーソナルモビリティーを意識したものであったか明確になっておりませんでしたので、1章および2章に、室内外の空間において歩行者とも共存しながら走行する電動車いす程度のスケールのモビリティーを想定している旨、そしてそこにおいては、歩行者や障害物への衝突、段差や階段における転倒・転落などを未然に防止するための「周囲環境を迅速かつ的確にセンシングし、得られた情報からリスクを的確に検出する機能」が重要となる旨を追加しました。本研究は基本的には電動車いすの高度化に関するものであったため、「高齢者や障害者のQOL向上」は常に外すことができない重要なテーマで、本論文全体の文脈もそれに沿ったものになっております。その一方で、「電動車いすはモーター移動台車にいすを取り付け、乗車可能にしたものである」と技術的にシンプルに捉えれば、従来の電動車いすの概念を一旦リセットして新しいパーソナルモビリティーとしての役割を発展的に検討できる可能性があり(そのために外装のデザインもできるだけ従来の車いすと異なった新しい形に見えるよう設定しました)、そしてそれがより広い層をユーザーとして取り込むことにつながり、結果として電動車いすの市場規模の問題を解決する方向に向かってくれればベストである、という思いを同じ文脈の中に混在させたことが問題であったかと思います。なお、この考え方自体は研究のカウンターパートである国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所の研究者の方やユーザーの皆様からも一定の賛同を得ることができましたので、第5章2節に記述を追加しました。一方で、その実現に向けては電動車いすに準ずる移動体に安全技術を投入しただけでは不十分で、インフラの整備や法規・法令の問題など解決すべき課題が山積である旨も第6章に追加しました。議論2 研究課題の設定の図式化について質問・コメント(赤松 幹之)スパイラルアップ型の研究戦略をとり、試作と評価のプロセスを経ながら、要素技術を設定して統合していくという第2種基礎研究のアプローチをとっています。具体的な内容は本文中に書かれていますが、読者がこの研究プロセスを理解しやすいように、研究課題設定のプロセスを図示してください。例えば、最初の段階で構想した必要な要素技術は何で、それはそれぞれどういう問題があると想定して設定したのか。そして、試作のプロセスや試作品の評価によって明らかになった技術課題は何だったのか、それぞれはどういう観点からの課題だったのか(例えば、耐久性、精度不足、新たに発見されたユーザーニーズ、実環境の耐用性への対応等)などがわかるようにブロック図的な図で表現することを検討してみてください。また、「まとめ」

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