Vol.2 No.2 2009
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研究論文:安心・安全な次世代モビリティーを目指して(佐藤ほか)−120−Synthesiology Vol.2 No.2(2009)いては、頭の高さより低いこの位置は障害物に干渉する可能性が少ない。さらに搭乗者の乗降動作の軌道外にアームおよびカメラヘッドが位置するよう設計しているため、そのまま乗降が可能である。リフター等を用いる場合でカメラヘッドの干渉が問題になるときは、アーム途中の折れ部がスイング可能となっており、カメラヘッド部を後方に逃がすことで対応することができる。試作の初期段階では、大型のPCを外部に置き、外部電源とともにケーブルで電動車いすに接続し実験を行っていた。これを全て車載化するためには、前章で述べたステレオ画像処理、画像統合、カメラ姿勢推定・補正、危険検出、ジェスチャー検出、など極めて膨大な計算を要する機能を全て1台の小型PC上に実装する必要があった。これを実現するために、まず、第3章で述べた様々な高速計算アルゴリズムの開発・実装を積極的に進め、ソフトウエアの面からPCの小型化による処理能力低下を補った。また処理の並列化のほか、重複計算の排除、テーブル引きが可能なものは全てテーブル化する、などの実装上の工夫についても徹底的に行った。さらにハードウエアの面からは、小型のマザーボードに対応するため、全方向ステレオカメラのインターフェースをPCI-X規格からPCI-Express規格に変更した。PCI-X規格はデータ転送の帯域は広いが、サーバー用のマザーボードに採用が限られている。PCI-Express規格は近年急速に普及が進んでおりほとんどのマザーボードで対応しているほか、全方向ステレオカメラのデータ転送に十分な帯域を確保することができる。図12に車載されたPCの外観を示す。PCは座席後部のカバー内にコンパクトに収められている。この他、電動車いす−PC間のインターフェースユニット、ジョイステックインターフェースユニット、無線LAN機器などを全てシート下に収めた。電源はモーター駆動用の鉛蓄電池(12 V、 52 Ah×2)を全ての機器で共通に用いた。これにより、外部ケーブルを一切必要とせず、連続で約4時間動作することが可能である。 4.3 外装デザイン研究シナリオに沿って「future-orientedな先端技術による福祉機器高度化の可能性・必要性を提示する」ものとするためには、人々の注目を集め、かつ一目でそのコンセプト・将来性が見てとれるものでなくてはならない。そのためには外装のデザインにも十分な注意を払う必要があり、チーム内で議論・試作を繰り返した。図13左に試作中の1コマを示す。同図中右は検討の結果決定した第1号機のデザインで、これを用いてプレスリリース[3]や展示会出展、ニュース番組等でのデモンストレーションを行った(現在は車載機器等の小型化がさらに進み、図11で示したデザインの2図12 PC の車載右がカバーを外した状態。 PC は座席後部に車載されている。図13 外装デザインの検討左はデザインの検討過程。何度も試作を繰り返しデザイン決定した。右は1 号機のデザイン。これを用いてプレスリリースを行った。図14 障害物の検出(1)(4)(3)(2)STOPSlow DownSTOP

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