Vol.2 No.2 2009
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研究論文:ものづくり産業を支える高精度三次元形状測定(大澤ほか)−112−Synthesiology Vol.2 No.2(2009)執筆者略歴大澤 尊光(おおさわ そんこう)1998年東京電機大学大学院工学研究科博士課程修了。博士(工学)。同年工業技術院計量研究所入所。2002~2003年PTB(ドイツ国立物理工学研究所)客員研究員として三次元測定の高度化に関する研究に従事。現在まで、三次元形状計測、幾何学量計測に関する研究及びその標準化業務に従事している。本論文では、三次元形状測定標準全般の業務を担当した。高辻 利之(たかつじ としゆき)1990年神戸大学大学院工学研究科計測工学専攻修了。同年工業技術院計量研究所入所。1994年~1996年オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)国立計測研究所(NML)客員研究員。1999年博士(工学)取得。現在は、三次元測定機や平面度をはじめとした幾何学量計測の研究に従事している。本論文では、研究全体の統括を担当した。佐藤 理(さとう おさむ)2004年東京大学大学院博士後期課程修了。博士(工学)。同年産業技術総合研究所入所。測長原子間力顕微鏡、座標測定機、座標測定システムなどを用いた寸法、形状計測および座標測定機などの精度評価法標準化に従事。本論文では、遠隔校正技術開発、デジタルものづくりに向けた計量標準と工業標準化および地域公設研との協力関係構築を担当した。精密工学会アフィリエイト。査読者との議論議論1 全体的評価コメント(田中 充:産総研研究コーディネータ) 当該論文は、我が国の機械工作部品の流通促進、競争力強化と技術移転にとって重要となる幾何形状測定の信頼性を保証する体制を作り上げるための本格研究として位置づけられます。豊富な内容を含んだ優れた研究成果と思います。回答(大澤 尊光)測定は、ものづくり産業において重要な項目であり、設計図面通りに製品が製作されているのかを検査し、その結果を製造工程に反映させて、製品の価値を向上させることができます。日本の製品の価値向上のためには、測定の信頼性を確保することが重要であり、そのための手段がトレーサビリティ体系と考えます。この体制造りは産総研のミッションであり、これの構築のためのシナリオを描き、本研究を進めてきました。議論2 問題の背景質問・コメント(田中 充) かつては大きな製造会社に1つしかなかった三次元測定機が今や、下請け工場にも、製造ラインにも多数導入されているという事実があります。これら生産現場毎の信頼性への要求が拡大していること、また一方、三次元測定機の操作にかける人のコストを避けるという専門技術離れが進んでいることについて加筆してはいかがでしょうか。また、我が国の機械工作製造事業への当該本格研究の貢献を語る場合の背景は、単に「ものづくり」だけですますのではなく、精密測定機器導入に際しての欧米依存信仰や工業化途上国の追い上げなどにも言及すべきではないでしょうか。回答(大澤 尊光)1章の「はじめに」のところに追記しました。議論3 構成学としての記述質問・コメント(田中 充) 要素技術を丹念に述べる一方、それをどのように構成して社会的なアウトカムに結びつけようとしたのかを語る必要があります。例えば公設研とのやり取りの中で、「公設研を介したトレーサビリティを唯一の方法として国内に根付かせる」方策はなぜ取らなかったのか。国際比較や国際相互承認についても、「産総研が参加せず登録事業者が国際試験所認定機構(ILAC)の中で技能試験に参加すれば良い」という方策はなぜとらなかったのか。国際比較用の器物の選定についてもどのような検討があったのか、それが我が国産業界に与える影響はどうか。それぞれの要素技術との関係で記述できないでしょうか。これが構成学と考えられます。またアブストラクトに、「計量標準と標準とをより強力に結びつけることにより長さの国家標準を製造現場までつなげることに成功した」とありますが、これは構成学の上から大切そうに見受けられますが、これに対応する記述が本文中に見えません。回答(大澤 尊光)経済のグローバル化に伴い計量分野における国際相互承認協定が結ばれ、各国の国立標準研究所においてその測定能力を示すことでワンストップサービスを実現しています。このような流れの中で、図3に示すようなシナリオがもっとも効率よく三次元座標計測標準をユーザに提供するものであると我々は考えております。また、標準化と計量標準の結びつきに関しては、3.1節及び5.1節にて触れているとともに、4.1節にレーザトラッカの評価法の標準化への貢献に関して追記をしております。S. Osawa, K. Busch, M. Franke and H. Schwenke: Multiple orientation technique for the calibration of cylindrical workpieces on CMMs, Precision Engineering, 29 (1), 56-64 (2005).大澤尊光, 佐藤 理:非接触座標測定機評価法の工業標準化, 計測標準と計量管理, 57 (2), 2-6 (2007).[20][21]

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