Vol.2 No.2 2009
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研究論文:ものづくり産業を支える高精度三次元形状測定(大澤ほか)−107−Synthesiology Vol.2 No.2(2009)れたステップゲージが多数産業界で使用される状況を達成できた。4 三次元測定機の信頼性評価4.1 三次元測定機の校正事業者の認定3章で述べたように、ステップゲージの標準器が整備されたことにより、それを用いて三次元測定機を適確に校正することが可能になった。このような状況の下、三次元測定機を所有する事業者が、国家標準にトレーサブルな三次元測定ができるという公的な証明を求めるようになった。そこで、すでに述べたステップゲージの標準器の場合と同様に、三次元測定の事業者を公的に認定するための技術委員会を(独)製品評価技術基盤機構に設置し、三次元測定機の校正に関する技術的要求事項適用指針[9]をまとめ、現在三次元測定機に関しても複数の校正事業者が公的な認定を受けてその校正サービスを行っている。三次元測定機は非常に多機能な装置であるため、ステップゲージを数回測定しただけではその性能の全てを適確に評価することは不可能である。より少ない手順で、より適確な評価を行えるようにすることが課題である。同じ問題は、三次元測定機の取引において購入者と販売者との間で、装置の性能検査をする際にも生じる。ISOにおいては、三次元測定機の納入時の検査方法について標準化がなされている。産総研からもISO会議へエキスパートとして参加し、標準化に参画してきた。そこで三次元測定機の校正に関する技術的要求事項適用指針を決めるに当たり、我々はこのISO規格[10]を利用することとした。このことは、計量標準(計量トレーサビリティ体系)が工業標準(工業製品やサービスなどについての共通化や決め事)を参照していることになる。一方、このISO規格の中では国家標準にトレーサブルな標準器を使うことが規定されており、逆に、工業標準が計量標準を参照している。従来から我々は計量標準と工業標準を一体的に活用することで、より効果的な制度運用が可能になり、産業界で使いやすくなるという考えのもと研究開発を進めてきたが、今回その努力の1つが実ったといえる。4.2 三次元測定の不確かさの算出方法三次元測定機は、1点1点のポイント測定を行い、その点データを集め、例えば円の測定であれば、最小二乗円にあてはめを行い、円の直径、真円度、中心座標等を計算により算出する。測定した点のそれぞれに測定誤差があるため、最終的に算出した円の直径や真円度がどのくらいの不確かさで算出されたのかを求めることは、かなり難しい作業である。三次元測定の不確かさの要因として、以下の項目が挙げられる(図11参照)。1)プロービングに関する不確かさ2)幾何学誤差に起因する不確かさ3)データ処理における不確かさ(最小二乗法等)4)測定手順に起因する不確かさ(測定点の数やその配置等)5)環境の変動に起因する不確かさ(温度、湿度等)6)測定物の保持に起因する不確かさ(固定力、自重たわみ等)7) 測定物自身に起因する不確かさ(表面粗さ、形状誤差等)このように様々な不確かさ要因が測定に関与するため、最終的な不確かさを評価することはかなり複雑である。そこで、産総研では、2001年から(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構国際共同研究助成事業(NEDOグラント)の助成を受けて、ドイツ国立物理工学研究所(PTB)、オーストラリア国立計測研究所(NMIA)、東京大学等と共同で、モンテカルロシミュレーションを用いた三次元測定機による測定の不確かさに関する研究を行ってきた。この手法はバーチャル三次元測定機[11]と呼ばれ、PTBにおいてクランプによる変形温度等環境変動要因測定値の不確かさ測定の実行データ処理最小二乗法等のプローブ配置プロービング誤差測定物の形状誤差表面あらさや測定手順zxyTrfrΔ図10 ボールプレートの国際比較(CCL−K6)の結果ボールプレート25個の球に対する産総研の値と参照値との差を示している。図中のエラーバーは産総研値の不確かさ、青線は参照値の不確かさを示している。図11 三次元測定機の測定不確かさ要因10CCL-K6[mm] [μm] 25 参照値からの差 (µm)測定長さ (mm)-0.5-0.2-0.3-0.4-0.10.00.10.20.30.4501001502002503003504004505002,673,118,12134,169,1714,185,2110,2215,231920,24251
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