Vol.2 No.2 2009
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研究論文:ものづくり産業を支える高精度三次元形状測定(大澤ほか)−106−Synthesiology Vol.2 No.2(2009)総研の校正値に対し、0.5 µm以内の偏差で一致し、本標準器が比較測定に有効であること、また各地域の公設研究所の技術水準が十分高いことが確認された[5]。3.3 標準器の国際比較3.3.1 ステップゲージの国際比較主要国の国立標準研究所が参加したステップゲージの校正に関する国際比較(CCL−K5)が、1999~2002年にかけて行われた。安定性に優れたステップゲージを幹事所が用意し、それを各国の標準研究所に順番に移送してブラインド測定を行い、その結果を幹事所に報告するという手順で行った。参加機関は、9機関であった。図9にその国際比較の結果を示す[7]。国際比較では参加機関はそれぞれの国の国家標準器に基づいて独立に測定するため、どの機関の結果がもっとも真の値に近いのか分からない。そのため通常、参加した機関の測定の不確かさを考慮して重み付け平均した値を最も確からしい値(参照値)とし、そこからの各機関のデータの偏差を表示する。しかし、本国際比較では、参加したいくつかの機関の測定データが大きくばらついていることが分かり、最終的に日本(NMIJ/AIST)、アメリカ(NIST)、スイス(METAS)、ドイツ(PTB)の4カ国の測定データが極めて良い一致を示したため、これら4つの平均値を参照値とすることに決定した。図9の値は、この参照値からの差を各機関ごとにプロットしたものである。(産総研の値が720 mmまでしかないのは、測定システムの測定範囲によるものである。)この結果から、産総研で開発したステップゲージ校正システムの信頼性が確認できるとともに、世界における産総研の校正技術能力の高さを示すことができた。3.3.2 ボールプレートの国際比較ボールプレートの校正に関する国際比較(CCL−K6)は、2001~2004年にかけて行われた。参加機関は、12機関であった。図10に本国際比較の結果を示す。この図におけるプロット点は、1番球から各球(2~25番)までの距離を算出し、産総研の結果とすべての参加機関における平均値である参照値との差を示している。各球番号は、エラーバーの下に示している。エラーバー表示は、産総研の測定値に関する不確かさ(66 %信頼区間)を示しており、青線は、参照値に対する不確かさ(66 %信頼区間)を示したものである。この図から産総研の測定値と参照値とが不確かさの範囲内で一致していることがわかる。この結果より開発したシステムの信頼性が確認できるとともに、世界における産総研の校正技術能力を示すことができた。3.4 民間企業による標準器の校正事業上記の国際比較で確認された技術力を産業界で広く利用してもらうのが産総研の使命である。産総研が直接引き受けられる校正サービスの数は限られているので、高い校正能力もつ民間企業が校正をビジネスとして行ってトレーサビリティ体系の中位に参加することで、信頼性の高い三次元形状測定技術を広く産業界に普及できる。このとき、しかるべき校正能力をもつ民間事業者を公的に認定する仕組みとして、計量法による校正事業者登録制度(JCSS)がある。この制度により登録された事業者は、日本の国家計量標準へのトレーサビリティが確保されていることが認定され、それを表明した校正証明書を発行することができる。この制度を利用したステップゲージの校正システムを構築するために(独)製品評価技術基盤機構の中に技術委員会が設置され、登録事業者に必要とされる技術的要求事項適用指針[8]などの原案を産総研が中心になって作成し、ステップゲージに関するトレーサビリティ体系を整備した。整備後すぐに複数の事業者が認定され、現在トレーサビリティのと参照値からの差 (µm)測定長さ (mm)-3-0.5-1-1.5-2-2.500.510020020040040060060080080010001000PTB (ドイツ)CEM (スペイン)CENAM (メキシコ)KRISS (韓国)METAS (スイス)NIM (中国)NMIJ(日本)CSIRO (オーストラリア)NIST (アメリカ)図9 ステップゲージの国際比較(CCL−K5)の結果

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