Vol.2 No.2 2009
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研究論文:ものづくり産業を支える高精度三次元形状測定(大澤ほか)−105−Synthesiology Vol.2 No.2(2009)研では、三次元測定機とレーザ干渉計を組み合わせることによりステップゲージを校正するシステムを開発した[4]。図6は、開発したシステムの外観である。本システムは、4光路干渉計を使用することにより、接触子にピッチングやヨーイングの回転誤差が生じても、測定長は常に接触子(スタイラス)先端の球中心と干渉計との間の距離を示す。このシステムを使用し、測定長500 mmのステップゲージを校正した場合、不確かさ0.30 µm (95 %信頼区間)を達成した。3.2.2 ボールプレートヨーロッパでは、三次元測定機の評価・校正に一次元の標準器である端度器よりも二次元的な評価ができるボールプレートやホールプレート(図7参照)が多用される。標準器に配置された球や円筒の中心座標値を決定し、この位置座標値を用いて三次元測定機の評価を行う。この場合、端度器よりも多くの情報を取得でき、測定領域内の誤差をより厳密に知ることができる。二次元の標準器を今後、日本においても利用可能にすべく、産総研ではこれら二次元標準器の校正システムを構築した[5]。ここでは、ボールプレートの校正システムの概要を説明する。ボールプレートは、その丸い形状から、直接的にレーザ測長器を利用して校正することは不可能である。そのため、三次元測定機を使用して校正するが、そのまま三次元測定機で測定した結果を使用しても、三次元測定機の精度以上の校正は不可能である。そこで、反転法と呼ばれる三次元測定機の持つ幾何学誤差を低減する手法を用いて各球の中心座標値を測定する。反転法の測定では、スケール自体が持つ誤差(通常、1次の傾き成分)のみが残ってしまうため、最後にスケール誤差を算出するために長さ標準にトレーサブルな基準器を使用してこれを補正する。通常、この補正には長さの異なる数個のブロックゲージが使用されるが、産総研ではレーザ測長器を使用してこの補正を行った。そのため、非常に高精度な補正データを得ることができた。このシステムを使用することで、測定長500 mmのボールプレートを校正した場合の不確かさ0.37 µm(95 %信頼区間)を達成した。図8はレーザ測長器を使用したボールプレート校正の様子を示している。現在、ボールプレートの校正に高度なレーザ測長技術を用いている機関は、世界中で産総研を含めて5機関程度である。さらに産総研では、レーザ測長器を所有していない機関であっても高精度なボールプレートの校正ができるよう、長さ標準にトレーサブルな新たな標準器を開発した[6]。この標準器は、ボールステップゲージと呼ばれ、ボールを一次元に配置したような形状をしている。測定対象となる球は、Hの形状をした本体プレートの断面2次モーメントの中立軸上に配置されており、上下、左右の熱変形や自重によるたわみなどで位置変化が生じた際にもその相対的位置の変動は、非常に小さくなるよう設計されている。この球間距離は、レーザ測長器を使って産総研で校正され、利用者に提供される。この標準器の有効性を確認するために、産業技術連携推進会議における活動の一環として、地域の公設研究所との間で本標準器を回送して、ボールプレートの比較測定を行った。この結果、ほぼすべての機関が産干渉計レーザヘッドステップゲージプロービングシステム拡大高精度内円筒高精度球拡大(b)ホールプレート(a)ボールプレート図6 ステップゲージ校正システム 図7 二次元標準器図8 ボールプレート校正の様子

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