Vol.2 No.2 2009
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研究論文:遺跡が語る巨大地震の過去と未来(寒川)−98−Synthesiology Vol.2 No.2(2009)活断層研究会編:日本の活断層 分布図と資料, 東京大学出版会, 東京 (1980).通商産業者工業技術院地質調査所編:1:500,000全国活構造図シリーズ (1982-87).寒川 旭, 佃 栄吉, 葛原秀雄:滋賀県高島郡今津町の北仰西海道遺跡において認められた地震跡, 地質ニュース, 390, 13-17 (1987).寒川 旭, 岩松 保, 黒坪一樹:京都府木津川河床遺跡において認められた地震跡, 地震, 2 (40), 575-583 (1987).寒川 旭:考古学の研究対象に認められる地震の痕跡, 古代学研究, 116, 1-16 (1988).寒川 旭:地震考古学の提唱, 日本文化財科学会会報, 16, 19-26 (1988).広瀬和雄, 寒川 旭, 藤永正明:遺跡から発掘された地震跡―東大阪市西鴻池遺跡を中心にして―, 日本考古学協会第54回総会研究発表要旨, 72-75 (1988).寒川 旭:地震考古学の展望, 考古学研究, 141, 95-112 (1989).高知県教育委員会:後川・中筋川埋蔵文化財発掘調査報告書Ⅱ, 風指遺跡・アゾノ遺跡 (1989).文部省震災予防評議会編:増訂大日本地震史料, 全3巻 [1][2][3][4][5][6][7][8][9][10]参考文献この研究を始めてから20年余が経過したが、遺跡の調査で見つかった地震の痕跡を調査対象とする意識が考古学者の間に浸透し、基礎的な調査方法も普及している。この意味では、当初の目標は達せられたと思う。この分野に関する一般市民向けの普及書も執筆した。特に、1992年に出版した著書[13]で、研究成果の紹介とともに、遺跡の地震痕跡の調査法を示したが、これによって、多くの読者が地震考古学に関心を持つことになった。さらに、縄文時代以降の日本における地震の歴史の紹介も試みた[16]。地震に関連した諸分野、特に地質学・工学関係の研究者に対しても、一見無関係に見える考古学の遺跡が研究対象になり得るという意識が浸透しつつあり、新たな視点からの研究が行われるようになった。著者は東京大学生産技術研究所・京都大学防災研究所の客員教授などを兼任したが、この間にも地震工学・地盤工学などの研究者と連携して研究を行っている。一例として、静岡県の元島遺跡では、先述の針江浜遺跡の事例のように、液状化現象が発生した砂礫層から砂だけが噴砂として流れ出した痕跡を観察できた [27]。この他、液状化現象に関して、遺跡から得られた様々な知見が、工学関係の研究者にも広く普及しつつある[28]。また、地滑りによって墳丘の盛土が滑り動く様子が連続的に観察できた今城塚古墳では、数値解析などを含めた共同研究を行った[29]。この他、西求女塚古墳・高松塚古墳などでも、工学系の研究者とともに地滑りや地割れの痕跡を研究している[30]-[32]。今後、遺跡を用いた研究が進展することに期待しつつ、成果のさらなる普及・啓発に尽力したい。(1941-1943).東京大学地震研究所編:新収日本地震史料, 全5巻・別巻・補遺・続補遺 (1981-1994).宇佐美龍夫:最新版日本被害地震総覧[416]-2001, 東京大学出版会, 東京 (2003).寒川 旭:地震考古学 遺跡が語る地震の歴史, 中央公論社,東京 (1992).寒川 旭:遺跡に見られる液状化現象の痕跡, 地学雑誌, 108, 391-398 (1999).寒川 旭:遺跡で検出された地震痕跡による古地震研究の成果, 活断層・古地震研究報告, 産業技術総合研究所地質調査総合センター, 1, 287-300 (2001).寒川 旭:地震の日本史 大地は何を語るのか, 中央公論新社, 東京 (2007).菅原康夫:徳島県下の遺跡にみる地震の痕跡, 特集 地震の考古学13, 徳島県, 古代学研究, 145, 26-29 (1999).水野清秀, 服部 仁, 寒川 旭, 高橋 浩:明石地域の地質, 地域地質研究報告(5万分の1地質図幅), 地質調査所 (1990).地質調査所:平成7年度活断層研究調査概要報告書, 地質調査所研究資料集, 259 (1996).阪神・淡路大震災と埋蔵文化財シンポジウム実行委員会編:震災を越えて「阪神・淡路大震災と埋蔵文化財」シンポジウムの記録, 株式会社エピック (2001).寒川 旭, 菅本宏明, 斎木 巌, 内藤俊哉, 藤井太郎:阪神・淡路大震災以後に神戸市内で検出された地震の痕跡:日本考古学協会65回総会研究発表要旨, 161-164 (1999).埋文関係救援連絡会議・埋蔵文化財研究会編 : 発掘された地震痕跡 (1996).服部敏之:愛知県の地震と遺跡, 特集 地震の考古学12, 愛知県,古代学研究, 144, 52-61 (1998).寒川 旭, 佐竹健治, 関口春子, 水野清秀, 杉山雄一:古地震データ図.50万分の1活構造図「京都」(第2版)説明書, 産業技術総合研究所地質調査総合センター, 17-19 (2002).尾池和夫:活動期に入った地震列島, 岩波書店,東京 (1995).寒川 旭:地震の痕跡について, 独立行政法人文化財研究所奈良文化財研究所, 高松塚古墳の調査, 44-47 (2006).寒川 旭, 小長井一男, 伊藤寛倫:元島遺跡で検出された液状化現象の痕跡, 「元島遺跡」Ⅱ, 213-221 (2005).小長井一男:地盤と構造物の地震工学, 東京大学出版会, 東京 (2002).伊藤寛倫, 小長井一男, 沼田宗純, 山口直也, 寒川 旭:古墳に残された地震地すべり痕跡の工学的調査, 第27回地震工学研究発表会 (2003).釜井俊孝:墳丘における地すべりのメカニズム, 西求女塚古墳発掘調査報告書, 235-236 (2004).釜井俊孝:カヅマヤマ古墳の基礎地盤と地震応答解析, カヅマヤマ古墳発掘調査報告書, 97-100 (2007).三村 衛, 石崎武志:墳丘の土質・地盤調査, 独立行政法人文化財研究所奈良文化財研究所, 高松塚古墳の調査, 40-43 (2006).[11][12][13][14][15][16][17][18][19][20][21][22][23][24][25][26][27][28][29][30][31][32]執筆者略歴寒川 旭(さんがわ あきら)1979年3月東北大学大学院理学研究科博士課程修了(理学博士)、同年4月通商産業省工業技術院地質調査所入所。2001年4月産業技術総合研究所主任研究員。2007年4月より同所招聘研究員。この間、2002年4月から2004年3月まで東京大学生産技術研究所客員教授、2005年4月から2008年3月まで京都大学防災研究所客員教授。主に活断層の研究に携わり、1988年に地震考古学を提唱してからは考古学との境界領域の研究を行っている。平成12年度工業技術院長賞受賞。
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