Vol.2 No.1 2009
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−90−Synthesiology Vol.2 No.1(2009)編集後記シンセシオロジーを創刊してから1年が経ちました。多くの方々のご協力またご支援のお陰で2年目を迎えることができました。関係された皆様に感謝する次第です。お気付きになったかと思いますが、第2巻から少し体裁を変更させていただきました。冊子ごとのページ付けを廃止して巻ごとの通しページだけにしたこと、論文の英語タイトルやアブストラクトを第1ページ目に掲載するなど、これらは科学技術振興機構(JST)で推進しているSIST(科学技術情報流通技術基準)に準拠させたもので、学術誌としての利便性が高まるものと期待しています。これからも良いことはどしどし取り入れて、刷新を進めていきたいと思います。この1年間を振り返ろうと、シンセシオロジーの立ち上げに中心的に携わったメンバーが集まって意見交換を行ない、それを本号の記事としました。話がやや抽象的に過ぎたかもしれませんが、メンバーの熱い思いが感じられるとともに、この学術誌発刊の背景や経緯をご理解いただくことができるかと思います。また、シンセシオロジーの英語版をお読みになったIEEE(米国電気電子学会)フェローのGaynor氏より、その感想のメールをいただきましたので、掲載いたしました。これを契機に読者フォーラムという欄を設けましたので、読者の方々から忌憚のないご意見やご感想、またシンセシオロジーに関係する書籍の紹介などをお寄せいただければと思います。産総研のホームページからシンセシオロジーの論文がダウンロードできるようになっていますが、アスセス件数はこの1年間で2万件以上ありました。電子版が広く活用されているようです。冊子には読者アンケートを挟み込んでありますが、これまでに返送されてきたアンケートは約7割が企業の方々からのものでした。その職種を見ますと、研究開発に携わっている方が4割弱であるとともに、管理職や営業また企画関係の方からの回答も4割ぐらいあり、技術開発のためだけでなく技術経営的な観点で読まれていることが分かり、うれしく思っています。また、当初は企業、大学、図書館などの機関宛だけに本誌をお送りしていましたが、発刊後に本誌の内容を知って購読されたいと数十名の方々から送付の依頼をいただきました。機関宛にお送りしているだけですと、どのような方が読者となっているか分かりにくいので、このように購読希望をお寄せいただけると読者像が具体的になって、編集にも張りがでてくるものです。本号では慶應義塾大学理工学部システムデザイン工学科の谷下、菱田両教授との座談会記事を掲載しましたが、2年目は、産・学・官・マスコミなどセクターを問わず、シンセシオロジーの目指すところを共有している国内外の方々との連携を強めていきたいと考えております。関心をお持ちいただける方についての情報がありましたら、お気軽に編集委員会にご連絡をいただければと思います。(編集幹事 赤松 幹之)読者フォーラムGerard H. (Gus) GaynorIEEE技術経営評議会会長*、同終身フェローSynthesiology English editionの第1号および第2号をお送りいただきありがとうございました。私は本当に印象深く拝見しました。これは大きな試みであり、このジャーナルの進展が是非成功することを望んでいます。私は吉川理事長のこのジャーナルの紹介記事を拝見しました。彼が概要を述べた内容は、技術を取り扱うすべての努力をもってしてもまだ実際には達成していないことなのですが、皆様方が成し遂げられることを期待しています。皆様方が第2種基礎研究として言及している研究は確かに必要であり、記事の中ではそのアプローチを、以下のように非常に明確に定義しています。“異なる領域知識を統合あるいは必要な場合には新知識を創出し、それを使って社会的に認知可能な機能を持つ人工物 (ものあるいはサービス)を実現する研究”第2号では、MITのレスター教授へのインタビュー記事を最も興味深く読みました。卓越した質問と意見です。これはアカデミアと産業界をつなぐ素晴らしい機会となるでしょう。そして、それはディシプリン(専門分野)の統合を推進する機会となります。それはまたアカデミアにおいて広い基盤を持つ工学・技術とマネジメント教育に立ち返る機会を与えてくれます。おそらく我々はそれぞれの専門分野の中でさえ、あまりにも専門化しすぎました。今、米国の電気電子工学のカリキュラムを見てみると、非常に専門的になっていることが分かります。我々は、ある場合には電気モーターの機能さえ教えずに学生を卒業させてしまいます。彼らは、機械学、動力学、流体力学、熱力学、伝熱工学やその他の工学における基礎学問に関する深い理解をもっていません。これら2号の論文はこの統合に関する議論を開始するのに貴重な材料を提供していると思います。私は皆様方が異なる専門分野の知識の統合を推進するこの試みに是非成功することを心からお祈りしています。2009年1月9日*IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.)は、アメリカ合衆国に本部を持つ電気・電子技術の学会。
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