Vol.2 No.1 2009
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−80−Synthesiology Vol.2 No.1(2009)座談会:シンセシオロジー 創刊一周年を迎えて技術社会になって行かなければならない。そういう社会システムを作ることが、広い意味での科学技術政策の中に欠けているのではないかと思うんです。吉川 昔は、第1種基礎研究ということで研究論文を書けば、場合によっては特許もできるし、ランダムに新しい知恵を出しておけば、社会がそれをうまく吸収して使ってくれるという、一種の調和的仮説があったわけです。それは、まさにシュンペーターの言ったイノベーションだったわけですが、現在のイノベーションは急がないともう間に合わないのです。炭酸ガスを何とか減らさないと温暖化が起こって、人類が滅びる。では、どうやって新しい技術をつくるのかという、まさに追い込まれたような目的が存在しているわけでしょう。したがって、企業の人は、今、企業が必要としている緊急課題としてのイノベーションのためにこれを読みなさいということなのです。これは基礎研究という、宙に浮いたようなものがどうやって社会化にまで来るかということを見せてくれる、一つの指針なのですね。研究者にとっては、科学が持つ、かつてのような自然に使われる信念から、使わせなければどうしようもないぞ、という信念に変わってこなければいけないというのがこの『シンセシオロジー』に論文を書くことのモチベーションだという、こういう位置づけが必要だと思うのです。小野 ありがとうございました。企業、大学、海外からもぜひ『シンセシオロジー』に投稿していただきたいと思いますし、書くことによって得るものが大いにあると信じています。(2008年12月19日)小野 晃 氏
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