Vol.2 No.1 2009
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−74−Synthesiology Vol.2 No.1(2009)座談会:システムデザイン工学と構成学て、その標準化の中にたぶんシンセシスの話が入ってきて、方法論が入ってくる。さらにそこを刺激する基盤技術に対してのメッセージが強く出る、その後に学術論文としてできる、というルーチングを作っていただけると非常にいいと思います。小野 まさに産業界も競争するだけではなくて、共通の何か基盤を作る、それは自分たちだけでできなければ、大学とか公的機関と協力するといった意識がほしいですね。産学連携は話が華やかですが、大学と我々公的機関の関係は、今まであまり議論がされてこなくて、こんなふうにお話しするのは私も初めてのような感じがしまして、共通の関心が随分たくさんあるにもかかわらず、組織として付き合うのはちょっと疎遠だったかなと思います。今後の課題ですね。技術者が元気になる仕組みをつくる 菱田 日本の技術者が元気になる仕組みが必要だと思うのです。プロフェッショナルエンジニアもそうだけれども、社会のシステムを作って、そこでぐるりと回ったら、資格が得られて儲かるように欧米は作るわけです。日本は最後まで作らない。そうするとどうなるかというと、ぐるりと回らないで、途中でストンと落ちるのです。技術者のステータスを上げるには資格が大切だと思っています。典型的なのはTOEICです。TOEICは民間企業がやっている資格ですが、TOEICで何点とったら、大学院の英語の試験を免除しますというところまでいきました。自分のキャリアの証しとして使えるわけです。これは国家論になってしまうかもしれないけれども、シンセシオロジーの話と、今残さなければいけない基盤技術と、問題解決型の課題に対してどうやるか、というのはもう明らかに「環境問題に関連したエコの生命で我々はどうやって生きていくか」ということで、そういう基盤技術は技術屋がやらなければいけないわけです。 谷下 さっきの自立型とか、提案型技術者というのは、世の中の技術者のステータスを上げるということなのです。ジャーナルもそうですね。小野 我々は『シンセシオロジー』に大学や企業の人にも投稿してもらいたいと切に願っています。そこで企業の技術者も夢を語る。会社の枠内だけではなくて、技術者としての自身の夢を語る機会にならないかと考えています。きょうはどうもありがとうございました。(2008年11月10日)略歴谷下 一夫(たにした かずお)1969年慶應義塾大学工学部機械工学科卒業、1975年米国ブラウン大学大学院博士課程修了、 Ph.D., 工学博士(東京工大)、1992年慶應義塾大学理工学部教授、2000年ESM2(France)招聘教授、バイオメカニクスや生物流体力学を基に新しい医療技術の開拓を目指している。特に、バイオメカニクスに基づく組織再生にも取り組んでいる。日本学術会議連携会員、日本機械学会副会長、日本機械学会フェロー、International Union of Theoretical and Applied Mechanics ; Working Party Member, Member of European Academy of Science等、日本機械学会バイオエンジニアリング部門業績賞、功績賞、論文賞、米国脳放射線学会 MAGNA CUM LAUDE CITATION賞。菱田 公一(ひしだ こういち)1976年3月慶應義塾大学工学部機械工学科卒業、1982年3月同大大学院工学研究科博士課程修了。1982年4月に慶應義塾大学理工学部の助手に就任し1986年4月専任講師となる。その間、英国ロンドン大学インペリアルカレッジ機械工学科客員研究員として二相流のレーザー計測法の開発研究に従事、1999年4月助教授(理工学部)1997年教授となり現在に至る。専門は熱流体工学、流体計測。2004-2006年日本機械学会理事、2007年度、日本流体力学会会長などを歴任。
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