Vol.2 No.1 2009
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−73−Synthesiology Vol.2 No.1(2009)座談会:システムデザイン工学と構成学赤松 菱田先生がおっしゃったように、「説得できるかどうか」が大事で、それはある意味、シンセシオロジーの中のロジックの1つだと思うのです。どこに価値があるからこれをやっていったのだ、ということをきっちりと説明できるまで考えてやったかどうか、というところが1つの価値だと思うのです。システムデザインの方々に『シンセシオロジー』に投稿していただくというのもいいかもしれませんね。 次の産業に必要な基盤となる要素技術の目利き、それがシンセシス方法論菱田 今、日本のR&Dで一番欠けているのは、基礎研究に近い、必要な部分をきちんと押さえることだと思うのです。それをいかに技術系のトップが理解できて、会社の中にその技術を蓄積していけるかということが次の世代の産業にものすごく効いてくる。例えば、炭酸ガスレーザーで加工機の基盤の部分を作っていた会社がやめてしまった。金型を作っていた人たちも全部いなくなって、次に、金属加工をレーザーでやろうとしてもだれもいない。それは基盤技術をなくしてしまうことになります。また、15年前にNANDフラッシュを作ったけれども、何に使っていいのかわからないと、その研究をしていた人たちがリストラされて、今、対応できていないということもあります次の産業育成のときに、それを支える基盤技術がどこなのかというところに目をつけて、そこの部分をどう評価して会社の中に残していくのか。この方法論ができれば、「そこは基盤技術として残すべきだ」と言える。それは非常に大事なことだと思います。赤松 トヨタ自動車の梅山部長と対談したときも(本誌1巻2号、2008)、「目利きが必要だ。それが統合の1つの力になる」とおっしゃっていましたが、システムデザイン工学科の卒業生が企業の中で目利きになっていくというのはあるべき姿ですね。菱田 経済原理だけで切ってしまうところに問題があると思います。 大学・公的研究機関と企業との連携のあり方小野 産学連携でいえば、産総研も必ずしもうまくいっていると思えなくて、現実に産業界からの委託研究額が小さいのです。産総研の全予算が年間約1,000億円なのですが、産業界から直接研究費で来るのは全部集めても30億円くらいです。 菱田 産学連携に関して、我々は知的資産センターを作ってコンソーシアムを組んで、技術移転のほうはだいぶ進みました。ただ、産業界との連携に関しては、先生との個人的なつながりが主になります。やはり国ベースのプロジェクトでどう参画していくかという話になると思います。赤松 『シンセシオロジー』の論文に、「産総研になって他の専門の人たちと一緒にやれたことでブレークスルーが起きた」という話がときどき出てきます。大学も、企業連携をしたときに、専門の先生方を組み合わせるとこの企業といいことができますね、ということがマネージできるのではないですか。菱田 そう思います。それには大学の教員たちが “おせっかい”にならないとだめなのです。「ちょっとお邪魔して、おせっかいさせてもらいますよ」というくらいの気持ちで他人を紹介するという風土を作らないとできないですね。谷下 今、言われた、“おせっかい”というか、ざっくばらんにディスカッションできる場が意外とないような印象を受けます。企業の方が来ても、かなりスペシフィックなプログラムに関して「何か意見がありませんか」みたいなことは結構あるのですが、ジェネラルにいろいろな問題を含めて交流できるような場が欲しいですね。菱田 企業が明日のR&Dのためだけのテーマを持ってこられると、産学連携はたぶんうまくいかないです。そこで大切なのは、やはり「目利きができる」ということです。自分だけの尺度ではなく、それ以上のものを測れるような素養のある人がメジャーを持って測って、そこでテーマを落としてくれて、育てる。そこに大枠の国の指針が入って、お金が落ちるというふうにしないといけないでしょうね。だから、産業界も、自分の独自技術と、基盤になっているプラットホームをある程度共通化しないといけないでしょう。例えば車のコンピュータのコントローラーは一緒にしましょうとなってきていますね。ああいう類のことが全部でき谷下 一夫 氏

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