Vol.2 No.1 2009
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−72−Synthesiology Vol.2 No.1(2009)座談会:システムデザイン工学と構成学ザイン工学科出身者ですね。専門的なことまでは理解できないけれども、どういう考え方なのか、どういうところが面白いのか、という理解の仕方は、縦割り式で育ってきた人とは違います。 菱田 就職についてですが、本当は「システムデザイン」で採ってほしいのですが、そういうわけにもいかなくて、機械および電機系でシステムデザイン、それと建築系みたいなところも含めて、入れてもらっているというのが現状です。人事の課長以上は「結構ですね」と言うけれども、現場に行くと、例えば熱流動がちゃんとわかっている人が欲しいという話になってしまいます。しかし、それはほんの5年くらいの話で、そのあとは、みんな、システムデザインみたいなことをやっているわけです。小野 先ほどの「スペックを作る技術者」という、まさにそういう感じがしますね。システムデザインは演習の中で学ぶ赤松 カリキュラムとしては、幅広く勉強することによって、新しい分野に展開できるようになっていると思うのですが、システムデザインそのものの教育というか、我々で言うと「シンセシスをする」という授業もあるのですか。菱田 秋にシステムデザイン工学演習があります。いろいろな先生がシステムデザイン工学の概念に従って演習をするという、ミニ卒論みたいなものです。この中に建築系だと意匠設計が入ってきたり、環境や都市計画などがありますが、私は風車を設計させています。コンセプトデザインをきちんと入れて、例えば地下鉄の出入り口に付けて、どこから風が吹いても動くような風車を作ろうと思うと、いろいろな風車を調べなければいけない。どのくらいエネルギーがとれて、どのくらいの効率かを調べて、フードの中におさまるにはどれくらいのものを作ればいいか。そして、実験をして、後でレポートを書かせる。システムデザイン工学教育の真似事のようなものかもしれませんが、その周りは要素の座学が全部並んでいます。赤松 システムデザインをすることを演習の中で学ぶということですか。菱田 システムの方法論を教えようという話は毎回出てくるのですが、今のところ、それしかないです。小野 それは我々の悩みと同じですね。シンセシオロジーのロジックの1つ、「説得できるかどうか」赤松 例えば、卒論のときに、これはシステムデザイン的に価値がある研究だという評価はどうされるのですか。菱田 そこはなかなか難しいですが、「人をいかに説得できるか」というのは、システムデザインとしては大事なことです。アクティブで単純な解析だけではなくて、こうやって作りましたとか、こういうふうにしてインテグレーションして、こういう評価が出ましたということですね。うちの学科の卒論は、ベストプレゼンテーション賞という、アナリシスだけではない形で学生を評価する賞があります。これは「自分がちゃんと主張ができているのだ」ということで、学生は喜んでいます。専門集団になってしまうと、どうしても他人の評価をするのが面倒くさくなるのですが、無理してでもやらないと、先ほどのお話のイントロのバックグラウンドができてこないのです。そこの価値観の共有は学科の中で絶えず意識して、広げるようにしないと分野はできません。小野 そうですね。我々も論文のリジェクトとアクセプトの境目がまだはっきりしないのです。非常に多様で、組み立てや構成の方法が人によってさまざまなために類型化できない。今の段階は、それをストックして、やがて見えてくることを期待している、という段階です。菱田 ストックがすごく大事で、そこに集まっている人たちがどういう共通の尺度で測れるか、ということだと思います。論文を書いた人だけを評価するのか、そこに最低限のルールができるかというと、そうではないのですが、それでも最低限のものを書きながら、さらにシステムデザイン工学らしい価値観をどう評価するか。これは結構時間がかかります。それから、強引に意見をぶつけて喧嘩しなければいけません。それをやらないと同じような価値観は出てこないです。 菱田 公一 氏
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