Vol.2 No.1 2009
74/94

−71−Synthesiology Vol.2 No.1(2009)座談会:システムデザイン工学と構成学システムデザイン工学科の教育カリキュラムは、自然科学のメカニックスと人工科学の制御・情報に大きく分けられます。メカと制御・情報がイコールウエイトでわかるような人材を我々は出したいと考えています。菱田 カリキュラムは、1年生は物理、化学、数学が基本ですが、2年生になると設計のデザイン、力学、あとは電磁気と数学です。4年生になって、例えば建築の意匠設計をやりたいという学生も電磁気から全部とらないといけない。学生にはすごく負担になるのですが、一貫して揺るぎなく、そこはやっています。片や、浅く、広くなってしまう面もありますが、足りない部分は専門課程の大学院になって絞り込むという形で、そこはある程度うまくいっています。システムデザイン工学科は、科目が多くて、厳しい先生も多いと知られていますが、人気は非常に高いです。赤松 システムデザイン工学科の卒業生は社会でどのように活躍されていますか。卒業生にみる「システムデザイン工学」の効果谷下 卒業生のケーススタディを紹介します。A君は、1期生で、今、MITでバイオの研究員です。彼は、縦割り式の分野で網羅的な知識はありませんが、どういう方向で何をやるかという判断がいい。目標設定ができますから、必要な知識を自分で身につけられる。機械工学科時代にはなかなかいなかった人材です。B君は、ベンチャーキャピタルに就職しました。必要な基本知識を身につけるのに時間がかかるのですが、非線形的な成長をして、最終的には研究テーマのポイントをこちらが言わなくてもかなり押さえることができました。C君は、生意気で本当に困ったのですが、センスが良くて、ポイントをつかむのが上手で、ドクターの学生が長い間うまくいなかった実験の問題点を解決しました。「システムデザイン工学科の学生に見られる特徴」としては、幅広いカリキュラムのため、個別分野の習熟度の深さは不足していますが、必要に応じて習熟度を自主的に高められるし、全体を見通す力を持っています。また、自分の専門意識が全くないため、何でも自分の専門と思ってやってしまう。また、いろいろなことに興味を持っている人が多いです。趣味が広く、ベンチャー企業に就職する人も目立ちます。学生からの感想を幾つか紹介しますと、「就職活動の時に困った。人事の人が必ず出身学科について質問してくるので。機械系、電気系のどちらかと」、「環境をやりたかったが、勉強すべきことが多く、システムデザイン工学科に入ってよかったか不安になる」、「今はたくさん引き出しを作る時期。必要になったときに専門的な勉強をすることは、そんなに難しくない」「システムデザイン工学科の科目は、他学科に比べたら浅いのでは。そこに不安を感じる」、「就職活動で、限られた専門知識を要求される」、「システムデザイン工学科では、多くの高性能な筋トレの道具が揃っている感じがする」、「システムデザイン工学科では幅広い学問を身につけるといっている一方で、専門性が不足している不安がある。特に、メディアで〈これからの時代はスペシャリスト……〉と言われると自信を持てなくなる」。システムデザイン工学教育の成果としては、幅広い知識や視野を持つことに若者が共感していると同時に、横断型の科学技術に対する直感的な認識がありますし、能動的で、前向きで明るい学生が非常に多い。そして物事を把握する能力が抜群です。問題はいろいろあるのですが、我々はおおむね成功したと思っています。ジェネラルな教育を経て“とがった”教育で人材を輩出する菱田 大学ですから、アカデミアがアカデミアを作って、次に育てなければいけませんが、ジェネラリストの教育をした後に、とがった教育をすると、とがった子がすべてを見て、さらに自分の仕事の専門性を引っ張ることができる。初めから専門に入っていくのとはちょっと違った意味での専門性が非常に強くなって、学会の論文も非常にいいものを書いてくれるし、アクティブな人材が増えています。特にシステムデザイン工学科の1期から3期の創成期の子たちが、次の世代を担うような人材になっています。 赤松 博士課程になったときに、システムデザイン工学科出身者とそうでない出身者で違いはありますか。谷下 『シンセシオロジー』の査読者の意見にあった「他分野の論文が理解できる」というのは、まさにシステムデ赤松 幹之 氏

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です