Vol.2 No.1 2009
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座談会−69−Synthesiology Vol.2 No.1(2009)新ジャーナル座談会慶應義塾大学理工学部は1996年にシステムデザイン工学科を発足させ、10年以上にわたって工学の新しい教育を行い、卒業生の活躍が注目されています。シンセシオロジー(構成学)とシステムデザイン工学の共通点に興味を持って、編集委員会から小野委員長と赤松編集幹事が2008年11月10日横浜市の矢上キャンパスを訪問し、学科長の菱田公一教授と学科創設のキーパーソンの1人である谷下一夫教授に加わっていただき座談会を開きました。システムデザイン工学と構成学産総研における本格研究とシンセシスの現状小野 産総研では、2008年1月から年4回のペースで、『シンセシオロジー』というジャーナルを発刊しています。日本語では「構成学」と言っているのですが、アナリシス主流のサイエンスの世界でシンセシスに光を当てよう、というものです。2001年に産総研ができてから、従来の基礎研究である第1種基礎研究と、企業が行っている製品化研究の間を連接するものとして、第2種基礎研究を軸にしてやっていこうということが共通認識としてできてきました。このジャーナルは、第2種基礎研究の方法論を確立し、本格研究を実践し、イノベーションを加速することを目的にしています。第1種基礎研究は、自然を対象にアナライズします。それによっていろいろな法則や定理、あるいは要素技術が得られるわけですが、それだけでは社会的な価値にまだ遠く、要素技術を統合・構成していくところが第2種基礎研究のポイントと考えています。では、このジャーナルでは何を記述するのか。社会的な価値を持つ目標を実現するための「研究のシナリオ」と「要素技術の統合・構成のプロセス」を記述しようということです。ところが、これがなかなか書き方が難しい。社会的な価値を持つ研究目標から出発して、どのような要素技術が必要なのか選択し、もしそのようなものがなければ新たに開発していく、さらにそれらを統合・構成して社会的な価値に持っていくという循環的な作業が大事と思っています。『シンセシオロジー』では「シナリオの提示と要素の選択」、「要素間の関係付けとそれらの統合・構成」を書いてほしいと著者にお願いしています。これまでも研究者は論文のイントロで「社会とのつながり」を書くには書いていたのですが、実際は著者は書きっ放し、査読者も読みっ放しで、そこがだめだからということでリジェクトされることはないわけです。著者の見識が窺われてイントロは読んで楽しいですし、私も一生懸命書いたほうですが、『シンセシオロジー』ではそれをシナリオとして書いてもらって査読の対象にしようということです。従来の論文と違ったオリジナリティがそこにあるだろうと思っています。『シンセシオロジー』の評価はまだ定まっていないのですが、著者たちからは「今までの学術誌では書けないことが書けた」という意見をもらっています。このジャーナルでは1つの論文に対して査読者を2人、著者と同じ専門分野の人と他分野の人をつけますが、氏名を公表しています。査読者は、研究の内容が分野外の人にも理解できるように著者をサポートする立場です。査読者からは「シナリオが面白い」、「他分野の論文が理解できて、査読意見が言えシンセシオロジー編集委員会 谷下 一夫 菱田 公一 小野 晃 赤松 幹之 慶應義塾大学理工学部教授慶應義塾大学理工学部教授編集委員長編集幹事座談会出席者

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