Vol.2 No.1 2009
62/94
研究論文:蒸留プロセスのイノベーション(中岩ほか)−59−Synthesiology Vol.2 No.1(2009)ります。パイロットプラントは温度計測等に通常塔では使用しない計測システムを導入するなど、やや特殊仕様になっており、実際の価格は多少変動するものと考えています。これらの詳細につきましては化学工学論文集34(4)、444(2008)にまとめています。また、熱移動を伴わない場合の蒸留性能につきましては通常のプロセスと同程度と考えています。議論2 理想状態とデチューニングでのエネルギー消費について質問・コメント(水野 光一)本研究で大幅な省エネが図られた訳ですが、エネルギー消費について理想状態とHIDiCとで差異を定量的に述べることは可能でしょうか?回答(中岩 勝)これもケースバイケースですが、現時点では試算しておりません。HIDiCの理想状態は「可逆蒸留操作」ですが、断熱圧縮による気体の昇温、いわゆるヒートポンプ効果が加味されています。現時点で省エネ性はこの圧縮過程の使用エネルギーが支配的です。この過程の熱力学的理想状態は本文中にも記述しました逆カルノーサイクルです。最近の産業用圧縮式ヒートポンプのチャンピオンデータでは、実際の効率は逆カルノーサイクル効率の50 %レベルと言われています。したがって、今後さらに使用エネルギーを少なくとも半分程度にできる可能性があると考えられます。もっと一般化して、混合物と精製物のエントロピー差で考えるとさらに1桁以上小さくできると思います。これらを定量化するにはエクセルギー解析などの熱力学的解析が有効です。議論3 理想状態からのデチューニングについて質問・コメント(立石 裕)図1は概念としてわかりやすくてよいと思いますが、反面、例示されているA,B,Cがそれぞれどのような意味を持つのかが不明です。理想状態からのデチューニングは、必ず何らかの条件設定をして近似操作をするものと理解されるので、そうした観点から説明を図の中に入れることはできないでしょうか。回答(中岩 勝)図1は一般的な概念を述べたもので、必ずしも本稿のPetlyuk 塔やVRCと定量的に対応したものではありません。一般論であることを明確にするために、本文中の図の説明に加筆しました。議論4 HIDiCに関する研究のポイントの説明について質問・コメント(立石 裕)蒸留プロセスのイノベーションという一段高い立場からHIDiCの研究開発を俯瞰するという全体的な構成はよいと思いますが、具体例としてのHIDiCに関する産総研の研究のポイントの説明にもう一工夫ほしいと思いますがいかがでしょうか。理論検討、シミュレーション、実際の具体的な技術的工夫がどのように「統合」されたのかを、もう少し突っ込んで表現できないでしょうか。回答(中岩 勝)産総研の貢献等に関しまして第6節に加筆しました。
元のページ