Vol.2 No.1 2009
44/94

研究論文:グリッドが実現するE-サイエンス(田中)−41−Synthesiology Vol.2 No.1(2009)それを踏まえた上で、シンセシオロジーの論文では、研究目標と社会とのつながりやシナリオの重要性を強調しています。特に本論文では大きな目標概念は分かりますが具体的な研究目標が明確ではないように思います。最終的には、グリッドはグリッドと言う技術を意識せずに、多数の場所に分散しているCPUやデータベース等をあたかも自分のコンピュータの内部やごく周辺にあるものとして、それを自在に駆使して情報処理を行うことにその真髄の1つがある、と理解しています。そうであるとすると本研究のGEO Gridでは最終目標がどこにあり、本論文ではその中でその大きな目標のどのあたりまでを狙ったのかと言う記述があるとよいと思います。またそのために取った戦略やシナリオについても是非記述を期待します。回答(田中 良夫)ご指摘の通り、GEO Gridの最終目標と現状での達成度が明確ではありませんでしたので、1章に最終目標を以下の通り明記いたしました。「本研究の目的は、GEO Gridを題材としてグリッドを用いたE-サイエンス基盤を構築し、地球科学の研究者に研究環境を提供するとともに、他の応用分野も含めた幅広い科学技術分野における真の実用化に向けた課題を明確にし、その解決をはかることにある。これにより、科学技術分野におけるイノベーションの創出に寄与することを目指す。」また、今回のシステム構築を通じて明らかにした解決すべき課題を6章で述べるとともに、8章に記述を追加いたしました。最終目標の達成に向けての戦略については、1章に記述を追加しました。議論5 要素技術の構成方法および専門用語の説明について質問・コメント(小林 直人)個々の要素技術の内容とその選択理由は非常に分かりやすく書かれています。ただし、専門用語が多いので、本文中で分かりやすく説明することが必要です。一方、課題は要素技術の構成方法だと思います。要素技術は、標準プロトコルおよび標準インターフェースに基づいて設計・実装と述べられていますが、その構成におけるユニーク性・革新性・優位性が何なのかを是非記述してください。もちろんシステム構成の容易さと言う点もユニーク性、優位性の一つであると思います。また、この構成方法により確保されたセキュリティやサービスの質がGEO Gridから見て十分なものなのか、まだ多くの改良が必要なのかについても言及していただけるとよいと思います。回答(田中 良夫) 要素技術が標準的なプロトコルやAPIに従って実装されていれば、大規模なシステムを容易に実現できることを実際に示すとともに、各要素技術の開発に際しては標準化や海外機関との連携が重要であることと、大規模なシステムの構築に際してはすべてを自力で開発することは現実的ではなく、コアコンピタンスをしっかりとおさえつつ、利用可能な技術は積極的に利用して開発コストを軽減することが重要であることの主張が本研究の優位性、重要性および本論文の主題と考えています。6章にこれらのことは述べてありますが、これとは別に1章にも記述を追加しました。

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です