Vol.2 No.1 2009
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研究論文:グリッドが実現するE-サイエンス(田中)−40−Synthesiology Vol.2 No.1(2009)執筆者略歴田中 良夫(たなか よしお)1995年慶應義塾大学後期博士課程単位取得退学。博士(工学)。1996年4月技術研究組合新情報処理開発機構。2000年4月工業技術院電子技術総合研究所。2001年4月改組により産業技術総合研究所。2002年1月同所グリッド研究センター。2008年4月同所情報技術研究部門主幹研究員。グリッドプログラミングおよびグリッドセキュリティに興味を持つ。アジア太平洋グリッドポリシー策定委員会議長、Open Grid Forum Certificate Operations Working Group共同議長。査読者との議論 議論1 論文の読者について質問・コメント(大蒔 和仁)誰に(どんな種類の人に)読ませたいのか、論文の目的が多少あいまいな気がします。すでに世の中にはすぐれた機能のソフトがPDS的に落ちているのでそれを拾ってきて組み合わせるだけでもかなりのことができ、それにコアコンピタンスを示すだけでかなりの高機能が実現できる時代である、といって多少広めのソフトウェア技術者相手に安心感を与えサンプルとしてグリッド技術を示したいのか、あるいは、応用範囲を、今は地質だが、天文や地球環境へもっと広がるはず、と訴えたいのか、ソフトウェアあるいはデータを「サービス」として前面に押し出すべき時代に入っていると主張したいのか、あるいはそれら全部なのか、「はじめに」とか「考察と結論」とかで長い文書を使って目的をもっと明確に述べてはどうか、と思います。intensive computing, in Proc. International Symposium on Cluster Computing and the Grid, 102-110 (2002).K. Bhatia, S. Chandra, and K. Mueller: GAMA: Grid account management architecture, in Proc. IEEE Int. Conf. EScience Grid Computing, 413-420, (2005).GeidSphere, http://www.gridsphere.org/JSR168, http://jcp.org/en/jsr/detail?id=168.Y. Yamaguchi, B. A. Kahle, M. Pniel, H. Tsu and T. Kawakami: Overview of advanced spaceborne thermal emission and reflection radiometer (ASTER), IEEE Trans. Geosci. Remote Sensing, 36 (4), 1062-1071 (1998).C. Justice, E. Vermote, J.R.G. Townshend, R. Defries, D.P. Roy, D.K. Hall, V.V. Salomonson, J. Privette, G. Riggs, A. Strahler, W. Lucht, R. Myneni, Y. Kniazihhin, S. Running, R. Nemani, Z. Wan, A. Huete, W. van Leeuwen and R. Wolfe: The moderate resolution imaging spectroradiometer (MODIS): Land remote sensing for global change research, IEEE Trans. on Geoscience and Remote Sensing, 36 (4), 1228-1249 (1998).F. Gagliardi, B. Jones, F. Grey, M. Begin and M. Heikkurinen: Building an infrastructure for scientific Grid computing: Status and goals of the EGEE project, Philosophical Transactions: Mathematical, Physical and Engineering Sciences, 363 (1833), 1729-1742 (2005).National Research Grid Initiative, http://www.naregi.org/Earth System Grid, http//www.earthsystemgrid.org/.GEON,http://www.geongrid.org/.Open Grid Forum, http://www.ogf.org/.[18][19][20][21][21][23][24][25][26][27]回答(田中 良夫)本論文の主題は、GEO Gridを例としてグリッド技術を用いたE-サイエンス基盤の構築例を科学技術の広い分野の研究者に対して示すことにより、グリッド技術およびそれを用いたE-サイエンス基盤の普及を促進し、科学技術におけるイノベーションの創出に寄与することにあります。また、情報技術に従事する研究者に対して、要素技術が標準的なプロトコルやAPIに従って実装されていれば、大規模なシステムを容易に実現できることを実際に示すとともに、各要素技術の開発に際しては標準化や海外機関との連携が重要であることと、大規模なシステムの構築に際してはすべてを自力で開発することは現実的ではなく、コアコンピタンスをしっかりとおさえつつ、利用可能な技術は積極的に利用して開発コストを軽減することが重要であることを主張したいと考えています。これらの主題が明確になるよう、1章に記述を追記しました。また、アブストラクトも修正しました。議論2 「分散計算」について質問・コメント(大蒔 和仁)グリッド技術あるいは高速計算機をつないで、という発想は貴重で重要だと思いますが、素人から見てグリッドという概念が提唱され始めた10年ぐらい前と比べて身近になったような気があまりしていません。いやいや、それは査読者の認識不足で、当時とは雲泥の差で発展していてすぐ手が届くところまできている、というような書き方はできるものなのでしょうか。回答(田中 良夫)グリッドの多くの要素技術がマチュアになっている反面、依然として身近になっていない印象を与えるのは、特に計算グリッドにおいていくつか技術的な課題が残っていることと、グリッドを用いた実例、サクセスストーリーがあまり報告されていないことに原因があると考えています。しかし、使える技術を使うだけでもかなりのことができるレベルに達しており、実際にGEO Gridは既存の技術を組み合わせるだけで地球科学の研究者のかなりの要求に応えることができています。この点について、1章に記述を追加しました。この記述に続いて、議論1への回答に述べた、本研究の目的が続くようになっています。議論3 セキュリティについて質問・コメント(大蒔 和仁)VO的発想で問題となるのは今も昔もセキュリティの問題であると思います。それが唯一残っている問題で、それが解決されれば曲がりなりにも動くのでしょうか。あるいは何か別のファクタが残っているのでしょうか。あるいはデジュール標準を取ると解決されるのでしょうか。特にグリッド技術の「問題点」の言及が欲しいと思います。回答(田中 良夫)セキュリティについては多くの科学技術分野に対しては実用に耐えるレベルの技術が確立されていると考えています。グリッド技術の問題点は、「グリッドミドルウェアの多くが容易にインストール、設定できないこと」、「証明書の取り扱いなど、ユーザにとって使い勝手が良くないこと」、「メタスケジューラというカギとなる技術が依然として研究段階にあること」の3つが要因であると考えています。これらの問題点については、6章で「解決すべき課題」として詳しい説明を追記しました。議論4 戦略やシナリオについて質問・コメント(小林 直人) グリッド技術の応用としてのGEO Gridと言うのは、地球温暖化防止、省資源、災害予測・防止、有効土地利用など持続的発展可能な社会をめざす21世紀の多くの課題解決のために、非常に有効な技術だと思います。

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