Vol.2 No.1 2009
37/94

研究論文:グリッドが実現するE-サイエンス(田中)−34−Synthesiology Vol.2 No.1(2009)ローなどを共有する仕組みが要求される。(6)簡便性ユーザ、データ提供者、プロジェクト管理者など、すべての参加者に対して「簡単に使える」ツール、インタフェースを提供する必要がある。また、数万規模を超えるユーザに対応しても、ユーザ管理を容易に行うことができるシステムである必要がある。3 設計前節において述べた要件に基づき、具体的な要素技術の選定および実装を行う前に、基本的な設計方針および利用モデルを定めた。本節ではGEO Grid情報基盤の設計方針および利用モデルについて述べる。3.1 設計方針要件(2)にあるような多様なデータや計算を、要件(3)、(4)、(5)にあるように、その提供ポリシーを尊重しつつ共有・統合し、研究コミュニティに対して提供するために、提供されるデータや計算を標準的なプロトコルやインタフェースを通じて提供される「サービス」として抽象化し、それらのサービスを動的に組み合わせて利用環境を構築する、仮想組織(Virtual Organization、 VO)[5]の概念をGEO Grid情報基盤の設計に導入する。世の中の多様なデータサービスや計算サービスの中で研究コミュニティが必要とするサービスが組み合わされ、仮想的な1つの情報基盤として構成される研究環境がVOである。3.2 利用モデル図1に示す通り、GEO Grid情報基盤においては、サービス提供者、VO管理者、エンドユーザ、およびGEO Grid管理者の4つの役割が存在する。サービス提供者はデータや計算の所有者であり、エンドユーザに対してそれらをサービスとして提供する。VO管理者はコミュニティやプロジェクトの管理者と考えれば良く、VOの構築、VOに所属するユーザの管理、ユーザ向けポータルの構築を行なう。GEO Grid管理者は利用可能なサービスが登録されているレジストリの管理およびそれへのアクセス制御を行なう。エンドユーザは基本的には1つ以上のVOに所属し、実際にサービスを利用することにより研究・調査を行う。サービス提供者は提供するサービスの情報をGEO Grid管理者が運用するレジストリに登録する。VO管理者はどのようなデータ、計算が利用可能であるかレジストリを通して検索し、利用を希望するサービスがあればサービス提供者と個別に交渉する。サービス提供者はVOへのサービスの提供を許可する場合はそのVOに対するアクセスを許可するべくシステムの設定を変更する。前述のようにアクセス制御はサービス提供者のポリシーに応じてVO単位、ユーザ単位、あるいはフリーアクセスなどに設定可能である。4 要素技術の選定と実装前節で述べた設計方針に基づき、我々はグリッド技術を用いてGEO Grid情報基盤を実装する。複数の組織間でサービスを連携させることを考えれば、標準に従ったセキュリティの実現が必須である。また、実装コストの削減および他システムとの相互利用性を高めるため、既存のツール、ソフトウエアを有効に利用することも重要である。本節では図 1 GEO Grid情報基盤の利用モデル-VO登録-サービス登録-サービス検索レジストリVIRTUALORGANIZATION環境VO地質VO防災VOWeb PortalWeb PortalWeb PortalWeb PortalGEO Grid 管理者Portal & VO 管理者エンドユーザデータ、計算サービス提供者ASTERデータサービスシミュレーション サービスMODISデータサービスBEAMSサービスデータ解析サービス地質図データサービス

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です