Vol.2 No.1 2009
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研究論文:産業技術の社会受容(松本ほか)−26−Synthesiology Vol.2 No.1(2009) Xt=( p+r・nt)・(1−nt)・ N・− (4)式(1)にHt /H0を乗じた形である。Ht, H0は消費者選好モデルを反映して算出される値であり次の定義とする。消費者は環境製品(EC)と従来製品(TR)の2つの選択肢を持つとし、消費者(i)の環境製品と従来製品に対する選好の差(Ui,EC –Ui,TR)の分布を求める。Uの定義は4.4節で示す。Hを従来製品よりも環境製品を選好する消費者の割合(Ui,EC –Ui,TR >0 を満たす消費者iの割合)とする。現状の水準(s値)で求めたH値をH0、t期のH値をHtとする。H値は補助金や性能向上等により変化するので、式(4)は、環境製品を選好する消費者の割合Ht がt期に変化すると、その変化率分だけt期の新規購入者Xt が変化するとしたものである。Htがt全体を通してH0と同値であればBassモデル曲線と同一になる。4.3 普及係数の設定(式(4)の p, r, N)分析対象製品に対する普及係数( p, r, N )の設定は、一般に製品の普及状況に応じて次のように設定する[6]。(1)製品がすでにある程度普及している場合:それまでの普及推移(Xt , ntの実績値)から p, r, N 値を推定する。(2)製品が市場に投入されたばかりであるか、まだ投入されていない場合:過去の類似製品の普及における p, r, N の値を適用する。本研究では原則として(2)の方法で過去の製品の普及係数値を参照して設定する。4.4 消費者選好モデルの設定(式(4)のH )消費者層iの製品kに対する選好Uikは、次のように選好の要素jの項の和で定義する。Uik=Σwij・skj (5)jは選好要素項目(属性)であり、skjは製品kの属性jの値(水準)である。7章で示す省エネ型エアコンの例では、 k={ 通常型エアコン、省エネ型エアコン} j ={ 初期価格、年間電気代、環境イメージ、その他} とした。設定の1例である。wijは各要素の選好の重みであり、定量化にはコンジョイント分析を用いる。以上よりUikを定量化し、それを元に式(4)のH値を算出する。5.2節と7.2節で例を示す。4.5 分析のフロー図4に分析の流れを示す。最初に基本設定を行う。まず分析の開始年と終了年を設定する。次に対象製品の普及係数p, r, Nを設定する(4.3節の方法)。次に消費者選好モデルを設定する。式(5)を消費者選好モデルの形式と1. 目標検討政策の影響分析、感度分析(2節の(3),(4))を重視3. モデル消費者選好モデルに基づくモデル結果の説得性×普及実績を説明できない3. モデル修正問題をクリア予測(基本分析)の説得性×と判断。論理の説得性×再考1. 目標検討分析対象が長期か短期か?(2節の(5)を検討)3. モデルBassモデルに基づくモデル予測(基本分析)の説得性○と判断類推の説得性○次の課題1. 目標検討感度分析をどうするか(2節の(4))3. モデル消費者選好モデルを組み入れるどう組み入れるか?3. モデルいくつかの方法を試行3. モデル式(4)予測(感度分析)の説得性○と判断。論理の説得性○(議論の余地あり)長期図3 モデル作成の過程HtH0j図4 分析の流れ 1. 基本設定 ・予測の開始と終了年の設定 ・普及係数( , , )の設定 ・消費者モデルの選択( , の設定) ・製品属性の水準値( )の設定 ・学習曲線モデルの設定 2. 基本ケースの設定 ・時系列の変化項目の設定 → シミュレーション(式(4)) 3. シナリオケースの設定 ・時系列の変化項目の設定 → シミュレーション(式(4))Np rjwijskj
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