Vol.2 No.1 2009
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研究論文:食品・環境中の有害成分分析のための有機標準物質の拡充(井原ほか)−19−Synthesiology Vol.2 No.1(2009)さらに、ここで述べた有機化合物の校正技術における効率的なトレーサビリティ体系は、拡がる標準物質のニーズに機動的に応えるための有力なスキームである。その中核技術としては、今のところ定量NMR法以外に可能性を示せていないが、合理的なトレーサビリティ体系を構築するためのユニバーサルな校正技術は他にも考えられるであろう。本論文がそのようなユニバーサルな校正技術開発の出発点になることを期待する。謝辞本研究成果のうち、有機塩素系化合物における測定結果は、中小企業知的基盤整備事業「ハロゲン系有機汚染物質の標準物質作成のための研究開発」によって得られたものであり、共同研究者である藤峰慶徳氏、平井哲也氏、能勢和聡氏(以上、大塚製薬株式会社)、小池昌義博士(産業技術総合研究所)に謝意を表します。また、農薬類における測定結果は、和光純薬工業株式会社からの委託研究である「トレーサビリティの確保された食品残留農薬関連標準物質の供給に関する研究」によって得られたものであり、試料の提供および評価等にご協力いただいた山田裕子氏、中尾慎治氏(以上、和光純薬工業株式会社)に謝意を表します。さらに、本論文における6章および7章で提案した内容は、共同研究「qNMR標準化のための測定法の確立」ならびに「qNMR普及のためのインフラの整備」によるものであり、西村哲治博士、棚元憲一博士、山崎 壮博士、多田敦子博士(国立医薬品食品衛生研究所)、末松孝子博士(日本電子株式会社)、有福和紀氏(日本電子データム株式会社)、上森仁志氏、大野桂二氏、吉田雄一博士(以上、和光純薬工業株式会社)、千葉光一博士、前田恒昭博士(以上、産業技術総合研究所)に謝意を表します。最後に、本論文の執筆内容について、多くの貴重なご助言をいただいた衣笠晋一博士(産業技術総合研究所)に深く感謝いたします。ポジティブリスト制度:一定量を超えて農薬等が残留する食品の販売等を禁止する目的で、食品衛生法の改正に基づいて2006年に施行された制度。人の健康を損なうおそれのない量(残留基準)が定められている農薬等はその基準値に従い、定められていないものは0.01 ppmの一律基準が適用される。公定分析法:試験機関や検体間における分析結果の比較を可能とするために、化学物質等の法規制とあわせて公示される公的な分析法。日本工業規格(JIS)、日本農林規格(JAS)、日本薬局方(JP)などがあり、用語1:用語2:用語説明堅牢性や汎用性などを重視して制定される。認証標準物質:標準物質に関する国際的な指針であるISOガイド35において、「一つ以上の規定特性について、計量学的に妥当な手順によって値付けされ、規定特性の値及びその不確かさ、並びに計量学的トレーサビリティを記載した認証書が付いている標準物質」と定義されている。トレーサビリティ:切れ目のない校正の連鎖を通して、参照標準(通常は国家標準)に関係づけることができる測定結果の性質のこと。食品等の流通の履歴管理と区別する意味で国際計量用語集第3版では「計量トレーサビリティ」と改訂されている。国家計量標準機関:国の定める計量の標準を設定する研究機関で、我が国では産業技術総合研究所計量標準総合センターが該当する。 一次標準測定法:「最高の計量学的な特性をもち、その方法の操作が完全に記述され理解されるものであり、その不確かさがSI単位を用いて完全に記述される方法」と定義されている分析法であり、国家標準物質の値付け等に利用される。電量分析法:ファラデーの法則に基づき、特定の物質を電気分解させたときの電流および時間の測定から物質量を測定する方法。金属元素などの無機イオンの分析の他、微量水分の分析などにも用いられる。重量分析法:試料中の目的成分のみが特異的に反応する試薬等を用いて分離し、得られた質量から目的成分を定量する分析法。一般的には、溶液中の特定成分を沈殿として分離する手法であるが、試料中の特性成分を気体として分離し吸着剤に吸収させて、その吸着量を質量として求める方法もある。凝固点降下法:試料中に存在する不純物が凝固点を下げる効果を利用し、試料の凝固点降下度を温度および熱量の測定から求めることにより、試料中の不純物の物質量分率を求める分析法。一般に高純度有機化合物の純度測定に用いられる。滴定法:狭義には容量分析法のことを指し、試料と反応する基準となる物質を含む溶液を試料溶液中に滴下し、ある平衡点まで達するまでに消費した基準物質の量から試料溶液中の目的成分を定量する分析法。利用する化学反応によって、中和滴定(酸塩基滴定)、酸化還元滴定、錯滴定、沈殿滴定などがある。同位体希釈質量分析法:目的成分を安定同位体でラベル化した成分を定量的に試料中に加え、得られた目的成分およびその安定同位体成分の質量スペクトルの強度比から試料中の目的成分量を得る分析法。目的成分とその安定同位体の化学的性質がほぼ同じであることから、夾雑物の多い試料の精製工程の影響を排用語3:用語4:用語5:用語6:用語7:用語8:用語9:用語10:用語11:
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