Vol.2 No.1 2009
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研究論文:食品・環境中の有害成分分析のための有機標準物質の拡充(井原ほか)−18−Synthesiology Vol.2 No.1(2009)質を一対一に整備する必要のないきわめて効率的なトレーサビリティ体系であり、標準物質に関しては世界的にも類を見ない新しい発想である。したがって、多くの実証実験を通して広く成果を公表するとともに、本体系の中核である定量NMR法に関しては、分析法の標準化を進めることに加え、新たに国家計量標準機関間の国際比較を実施することなどにより定着させることが必要である。同時に、社会で必要とされる多様な実用標準物質の校正を産業界自身で行える体制に早期に移行するためのインフラ整備も重要である。このためには、定量NMR法の基準物質となる使いやすい国家標準物質を実際の適用事例とともに供給することに加え、定量 NMR法による測定のパラメータセットからデータ解析に至るまでの自動化ツールなどを用意することも必要である。7 将来の展開定量NMR法は、今後、測定装置の製品化を伴うことにより大きな市場性を有すると思われる(図6:将来の課題)。すなわち、定量NMR法に特化した安価で使いやすい装置の開発や1H以外の他の核種への応用などにより、実用標準物質の校正技術に留まらず、検査・試験機関や研究機関などにおける幅広い分野での有機化合物の定量分析に活用が期待される。また、例えば、生理活性物質や生薬などの天然物に含まれる有効成分の定量的評価は、自ら単離した有効成分や対応する市販試薬を標準として使う場合が多いが、その純度(あるいは濃度)評価が不十分であることから測定値の信頼性が十分ではない。定量NMR法はこのように適切な標準が得にくい場合にも信頼性の高い有力な定量分析法になりうる(図9)[7]。定量NMR法による校正凝固点降下法等による校正定量NMR法による校正物質Z物質Y 物質X 物質C 物質B 物質A 実用標準物質仲介物質基準物質国家標準物質国際単位系(SI)現在正確な有効成分含量の推定有効成分定量NMR法による正確な評価単離天然物不正確な有効成分含量の推定不十分な評価将来アセトン- 6ジクロロメタン- 2ジクロロメタン- 2ジクロロメタン- 2ジクロロメタン- 2ジクロロメタン- 2ジクロロメタン- 2ジクロロメタン- 2アセトニトリル- 3アセトニトリル- 3アセトニトリル- 3ジクロロメタン- 2ジクロロメタン- 2ジクロロメタン- 2ジクロロメタン- 2ジクロロメタン- 2ジクロロメタン- 2ジクロロメタン- 2ジクロロメタン- 2ジクロロメタン- 2ジクロロメタン- 299.699.899.999.799.899.799.799.799.699.799.899.999.899.899.60.20.20.10.20.30.40.30.30.30.30.20.20.20.30.399.599.999.399.299.599.199.699.399.999.899.999.399.899.699.299.599.799.499.899.599.50.60.50.50.80.60.50.50.31.20.70.60.50.70.60.60.30.70.70.70.70.5安息香酸安息香酸安息香酸安息香酸安息香酸安息香酸安息香酸安息香酸安息香酸安息香酸安息香酸安息香酸安息香酸安息香酸安息香酸安息香酸安息香酸安息香酸安息香酸安息香酸安息香酸熱分解のため測定不可熱分解のため測定不可凝固しないため測定不可凝固しないため測定不可凝固しないため測定不可凝固しないため測定不可参照値不確かさ分析値不確かさ基準物質仲介物質溶媒凝固点降下法定量NMR法対象物質k(%)(%, =2)(%)(%, =2)k----------------------------------------ジメチルスルホンジメチルスルホンジメチルスルホンジメチルスルホン1,4-BTMSB- 41,4-BTMSB- 4----------1,4-BTMSB- 41,4-BTMSB- 41,4-BTMSB- 4-----ジメチルスルホン -Nonachlor -NonachlorOxychlordaneEndrin -Chlordane -ChlordaneTrichlorfon (DEP)Heptachlor4,4'-DDT4,4'-DDE4,4'-DDDProcymidoneFenobucarb (BPMC)Fenitrothion (MEP)α-HCHβ-HCHAtrazineEPNDiazinonMalathionEtofenproxtranscistranscisdddddddddddddddddddddddddd表2 定量NMR法による有機化合物の純度測定結果図8 定量NMR法を中核技術とする効率的なトレーサビリティ体系図9 定量NMR法による天然物中の有効成分の定量的評価
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