Vol.2 No.1 2009
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研究論文:大規模データからの日常生活行動予測モデリング(本村)−11−Synthesiology Vol.2 No.1(2009)そのために、「実社会で有効なサービスを実現しながら、それを通じて調査・研究を遂行する」という新しい“構成学”の枠組みを提案している点に、“構成学”としての独創性があると思います。社会循環型の本格研究と言えるでしょうか(図b)。過去にSynthesiology誌に掲載された論文にも、この社会循環型の本格研究の類型に当てはまりそうなものもありますが、やはり、本論文がもっとも明瞭にそれを体現していると思います。“構成学”の学術誌でもあるので、やはり、この独創性の部分をより明瞭に記載してください。回答(本村 陽一)ご指摘の点を踏まえ、アブストラクトにおいて各要素技術とその構成としての本研究のポイントを明記し、題目、位置づけをResearch as a Serviceを主体として修正しました。議論2 論文の構成(章立て)について質問・コメント(持丸 正明)人工知能学会誌の論文ではなく、構成学の論文であることを考えると、導入部分は統合された技術がもたらす「夢」であるべきと思います。「人間がなんの目的を持って行動するかを理解するシステムによって人間生活を支援するサービスを実現する」という夢とその具体的な事例イメージを、読者に最初に提示するのがよいと思います。その夢を実現するためのブレイクスルーポイントが「日常生活を計算論的に、記述・理解・実現する」ということになるでしょう。それをブレイクスルーするための難しさとして、(1)人間の行動という曖昧で不確実な要素を含んでいる点があります。それを乗り越えるための方策として非決定論的枠組みが有効であり、具体的技術としてベイジアンネットワークを適用したと言うことになるでしょう。また、ベイジアンネットワーク技術によって派生する難しさとして、(2)大量データの観測というものがあります。これをユビキタスセンシングや実社会でのサービス (RaaS)によって解決していくという筋道だと理解しています。そのような章立てに直した方が読みやすいと思います。質問・コメント(中島 秀之)「1.はじめに」の最後の部分にそれ以降のあらすじを記述していただくのが良いかと思います。第2章(RaaS)が唐突に書かれていて、その後にうまくつながっていません。質問・コメント(持丸 正明)副査読者の中島氏からも指摘があるとおり、第2章(RaaS)の配置がスムーズな論旨展開の妨げになっているようです。主査として3つの解決策を提案します。第一は、副査読者の中島氏が提案しておられるように、章立ては変えず、第1章(はじめに)の末尾に本論文の論旨展開を記載するということです。第二は、第2章(RaaS)と第3章(非決定論的アプローチ)の順番を入れ替えるというものです。第三は、第2章(RaaS)を思い切って、第8章(おわりに)の前に持ってくると言うものです。第一の「論旨展開」を第1章の末尾に書くというのは、章立ての順番を入れ替えることとは独立の方策ですので、いずれにせよ、実践いただくのが読者のためによいかと思います。主査としては第三の解決策を推奨します。本論文では「人間行動モデルに非決定論的な方法論を選択」「非決定論的な方法論としてのベイジアンネットワーク」に加えて「RaaS」が書かれています。具体的な事例を提示する前に、これらの理論(あるいは考え方)を一斉に読者に示しても、受け止めきれないのではないかと懸念します。そこで、前半では「非決定論的なアプローチ」を中心に論旨を展開し、具体的な事例を通じて、それを実現するのに意味のある大量データが必要であることに触れ、それを取得して研究を推進する方法として「RaaS」を提案して、さらにそれを展開するためにステークホルダーとの連携形成が不可欠である、という流れにしてはどうか、ということです。回答(本村 陽一) ご指摘どうもありがとうございます。いただきましたコメントに基づきまして、章立てを第三の解決策に従って修正いたしました。議論3 具体事例に関する記述の追加について質問・コメント(中島 秀之)「こうした情報サービスが普及し、多数のユーザがシステムを利用することによって、選択したコンテンツの履歴がさらに大量の統計データとして集積する。そのデータによりベイジアンネットワークモデルの改善が進み、モデルの適合度や推論精度も向上するといった好循環が実現できる。」という部分がこの論文のもっとも肝要なポイントであると思います。もう少し具体的にどのようなるスパイラルになったのかを記述して下さい。1000名以上を対象に実証実験を行ったことは評価しますが、ちょっときつい言い方かもしれませんが、これだけでは実用に供したとは言えません。社会科学ではこれくらいの数のアンケートは普通ですし、システムの試作と実証実験までは従来より情報系でも行われてきたことです。そこで止まらず、実際のサービス提供をするというフェーズが大事なのだと思います。回答(本村陽一)ご指摘の点を補強して、事例に関する情報を追記いたしました。議論4 再利用可能なモデルの説明について質問・コメント(持丸 正明)「再利用可能なモデル」の具体的なイメージを示している図〈最終稿の図7〉は、査読者がコメント1で提示した当該論文の“構成学”の枠組みの図(図b)における「一般的知識モデル」に相当するものかと思います。サービスを実施しながら調査・研究を進めることで、他のアプリケーション(サービス)に水平展開できうるモデルができるというのが、この論文の提案・実証する“構成学”としての面白味であります。一方で、実社会でのサービス循環を通じて研究を進めると言うことに加えて、「再利用可能なモデル」が生成されるというのは、読者にとってはやや情報量が多く、即座に理解しにくいのではないかと懸念します。そこで、論文前半ではこの点にさらっと触れるのみにして、事例を示したあと、第8章(おわりに)のところで図を提示して、改めて「再利用可能なモデル」が生成されることを詳細に述べる方が効果的ではないかと考えます。回答(本村 陽一)ご指摘の通りに図の移動と第2章、第8章を修正いたしました。図b 社会循環型図a ブレイクスルー型重要技術要素A周辺技術要素B周辺技術要素C統合技術によるサービス・製品化重要技術要素A周辺技術要素B周辺技術要素C統合技術によるサービス一般的知識モデル
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