Vol.2 No.1 2009
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研究論文:大規模データからの日常生活行動予測モデリング(本村)−8−Synthesiology Vol.2 No.1(2009)図3のモデルでは運転歴が浅いドライバーではファミリーレストランやファーストフードチェーンのようなフランチャイズレストランが選ばれる確率が高く、逆に運転歴の長いドライバーはこうしたレストランを選ぶ確率は低い。これはフランチャイズレストランでは駐車場が整備されていることが多く、若者や初心者ドライバーに好まれる傾向を表している。さらに「運転歴」に加えて「次の予定(がある)」との交互作用があり、運転歴が長い場合でも、次の予定があり急いでいる状況ではフランチャイズレストランを利用する確率が上がるという傾向が反映されている。他にも予算レベルと車種の関係など直感的にも妥当な傾向が獲得されている。また構築した図3のモデルを用いて、レストラン推薦システムを試作した(図4)。ユーザ変数、状況変数より、好みのコンテンツ属性を確率分布として予測する。これとコンテンツの属性の値を対数尤度により評価し、次のスコアを求める。Ai = Σj log p( cj = Cij ) (3)このスコアの値が高いコンテンツ順に、推薦することで状況とユーザに適応したカーナビが実現できる。この試作システムと従来のカーナビと比較したところ推薦結果のユーザの好みと状況にあったレストランが上位に提示される点で有効性が確認された[6]。7.2 携帯電話によるユーザ・状況適応型情報推奨次世代の携帯電話サービスにおいても、多様なユーザや状況に適応する情報推薦技術は重要である。ここでは携帯電話サービスにおける映画推奨サービスにベイジアンネットを適用した事例[19][20]を紹介する。まず、約1600名の被験者に対して映画コンテンツを提示するアンケート調査によりユーザ属性、コンテンツ属性、コンテンツ評価履歴を取得した。年齢・性別・職業などのデモグラフィック属性の他にライフスタイルなどに関する質問項目、さらに映画視聴に関する態度属性として鑑賞頻度、映画選択時の重視項目、映画を見る主要目的(感動したい等7項目)、コンテンツに対する評価{良い・悪い}、その時の気分(感動した等7項目)などを収集した。さらに約1000人について別途、各映画コンテンツについて、どんな気持ちや状況で、どこで(映画館、DVDで家)、誰と何人で、どんな時に、鑑賞するか、を自由記述文により収集した。このデータを筆者が開発したベイジアンネット構築ソフトウェアBayoNet[17][18]に入力し、自動的にベイジアンネットモデルを構築した。こうして構築したベイジアンネットにより状況とユーザの嗜好性に応じて映画を推薦する携帯情報システムのプロトタイプを開発した。ユーザが携帯電話からサービスへの要求を状況に関する情報とともに送ると、システムはデータベースから登録済みのユーザ属性情報と状況情報を使って確率推論を実行する。その結果選択される確率が高いと判断されたコンテンツを上位から推薦する(図5)。この映画推薦システムはインターネットサービスにも発展し、auoneラボ(http://labs.auone.jp)において2007年から一般に公開されのべ約7000件の推薦を実行した。その推薦履歴からさらにモデルの再学習を行うことで推薦精度を向上させる実験も行っている。またこのように構築された映画選択の計算モデルを用いて、今度は映画公開が終わったコンテンツのDVD販売戦略の最適化を映画配給会社と共同図3 レストラン嗜好ベイジアンネットモデル図4 レストラン推薦システムの概要[6]図5 ユーザと状況に応じて映画を推奨する携帯情報サービスシステム[19][20]j=1nレストラン属性状況個人属性年齢層メインディッシュフランチャイズ・レストラン高級感平均予算運転歴時間次の予定車種可処分所得渋滞度客層レストランカテゴリ状況データユーザデータコンテンツデータステーキXY店態度の計算ベイジアンネットワーク好みのコンテンツの予測予算カテゴリ和食中華洋食1000ステーキXY店提案候補 / 態度値態度S1C1S2CjC2U1U2Ci1= 洋食Ci2= 2000円Cijp(Cj)40002000603040123AiAi = Σj log p(cj = Cij )ビストロABCBカレーベイジアンネット個人プロファイル過去の履歴情報③お勧めコンテンツ とお勧め理由の提示Aさんユーザデータベース推薦②お勧めコンテンツの算出コンテンツ推薦システム①ユーザが 状況を入力推薦要求コンテンツデータベース
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