Vol.1 No.4 2008
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研究論文:ロータリエンコーダに角度標準は必要か(渡部)−304 Synthesiology Vol.1 No.4(2008)が無く、第2項のみの平均操作になります。実はこの式のちょっとした違いが、「キャンセル」から「見える化」への実現を担っています。したがって平均は統計精度を上げるための計算ではなく、何も基準が無いロータリエンコーダ自身から校正値を導き出すために用いられています。しかしながらこの効果は絶大であり、図3の2つの線で挟まれた「カタログ精度」に対して、まさに校正曲線として角度偏差のビジュアライズに成功したことになります。質問・コメント(田中 充)見える化技術についての記述で、「センサヘッドの個体差や設置精度」は致命的な死の谷で、「温度変化や取り付けのゆがみ」などは乗り越えられた死の谷だという判断を説明する必要はないでしょうか?さもないと、乗り超えられたという結果論になってしまいますが・・。回答(渡部 司)「国家標準器(2個のロータリエンコーダで自己校正)」「マルチ再生ヘッド法、3点法」「偏心のキャンセル法」の方法は、「センサヘッドの個体差や設置精度」「温度変化や取り付けのゆがみ」など角度偏差検出に対して致命的な死の谷を持っていました。「国家標準器の小型化」は致命的な死の谷ではありませんでしたが、サイズが死の谷でした。したがって、等分割平均法を1つのロータリエンコーダでできるかどうかが鍵でした。議論4 自己校正機能の内容について質問・コメント(赤松 幹之)第4章第3段落の記述から、SelfAの特徴は、等間隔に複数のセンサヘッドをロータリエンコーダ内に配置し、そのうちの1つを基準とするセンサヘッドとするものであると理解しました。しかし、見かけ上からは、国家標準器で使われている等分割平均法のための標準器(図4aの下側の部分)と同じもののように見えます。すなわち図4cの方法は、第2段落に書かれている「複数個のセンサヘッドを目盛り盤の周りに配置する」ことと同じように見えます。第2段落のその次の文章で、複数のセンサヘッドを付けることの困難性が説明されていますが、このSelfAでは、複数のセンサヘッドを付ける困難性は問題にならなかったのでしょうか?それは例えば(2)式の方法をとることで回避できたのでしょうか?このことも含めて、SelfAに導入した方法を見出したプロセス(思考のプロセスかもしれません)を記載していただけませんでしょうか。また、それと表1に示す校正原理の表とを関連させて導入された方法の比較などを記載していただくと、表1の位置付けが明確になります。回答(渡部 司)図4で示す国家標準器(図4aの下側の部分)は、実はセンサヘッドが5個並んでいるのではなく、図では省略されておりますが、さらに下部にもう1つのロータリエンコーダがあり、それを用いて1つのセンサヘッドを5箇所に1,2,3,4,5の順番に制御しながら式(1)の測定を別々に行っています。また最下部のロータリエンコーダは目盛りの間隔の1/4の位置制御が可能なものが選定されており、理想的な測定ができるようになっております。その結果不確かさ0.01秒の世界最高精度を達成しています。しかし、この理想的な装置を開発したため「等分割平均法は2個のロータリエンコーダで行うものである」、「理想的なセンサヘッド配置」という概念が固定し、図4のa→d→cの発想の展開ができずにいました。しかし、目標とする不確かさを1秒と設定しなおすことで、さまざまな発想が可能になったのではないかと思えます。目標を不確かさ1秒程度にしますと、多少センサヘッドがずれていても、校正曲線に大きくは影響しないとか、国家標準器とは異なった解析アルゴリズムが考えられるようになりました。キャンセル技術では「目盛りの間隔の1/4」は必須です。マルチ再生ヘッド法、3点法は、基準センサヘッドに対して他のセンサヘッドの位置により検出できるフーリエ成分が決まります。それだけに基準センサヘッドと他の個々のセンサヘッドの位置関係は重要です。しかし等分割平均法は等角度に等方的に配置されているため、ある程度の平均化効果が働きます。さらに定量的に表現することは極めて難しいものとなっています。 質問・コメント(田中 充)校正技術の内容について、図7が添えられているものと本文での説明が「センサーヘッドの数に依存したフーリエ成分が求まらない」では不十分なので、肝心の技術内容を読者は想像できません。回答(渡部 司)図7を参照し、具体的な説明を加えました。「例えば5個のセンサヘッドを配置した場合は、5,10,15・・と5の倍数次のフーリエ成分が求まらない。6個の場合は、6,12,18・・・の成分が求まらない。また角度偏差のフーリエ成分は一般的に高次になるほど小さくなる傾向がある。したがって配置するセンサヘッドの数を増やせば、それだけ影響の大きい低次成分項を検出し、高次の項までフーリエ成分の抜けのない校正値を求めることができる。」議論5 用語説明・表現の改善について質問・コメント(赤松 幹之・田中 充)トータルステーション、セオドライト、エリプソメータ、校正など専門外の人にはなじみのない用語が出てきますので、用語説明を加えていただけませんでしょうか。特に、校正という言葉は角度誤差の見える化という本題と密接な関係があるのできちんと説明してはどうでしょうか?その他、誤差や精度という言葉の使い方が、標準専門家として偏っているので訂正してはどうでしょうか?回答(渡部 司)トータルステーション、セオドライト、エリプソメータの用語説明を加えました。また、角度の偏差を校正値として求めることが校正の意味であることが分かるように改訂しました。さらに、誤差や精度については、それぞれ偏差、カタログの「精度」として是正しました。(58)−訂正(2巻2号にて)1巻4号の研究論文「ロータリエンコーダに角度標準は必要か」の中の式に誤りがありましたので訂正いたします。ロータリエンコーダに角度標準は必要か ―角度偏差の「見える化」を可能にしたロータリエンコーダの開発― (渡部 司 著)299頁 左段 23行目誤µ=Σδj=A1−−(A1+A2+A3+A4+A5) (2)正µ=−Σδj=A1−−(A1+A2+A3+A4+A5) (2)j=15j=15515151

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