Vol.1 No.4 2008
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研究論文:ロータリエンコーダに角度標準は必要か(渡部)−300 Synthesiology Vol.1 No.4(2008)っているためである。新しい校正値を得ることで高精度な角度偏差の補正が可能になる。図10は回転テーブルを10回転させ、各回転の校正値を求めたデータを図示したものである。校正値が求められなければ、カタログの「精度」としては±10秒としか表現できないが、校正値を用いることで校正値自体の再現性である±0.3秒の高精度な角度位置を検出できることがわかる。図11は図10で示した10本の校正値の平均値からの再現性(ばらつき)を示した図である。実はこの±0.3秒のばらつきの原因は、回転テーブルのボールベアリングの内部ボールの回転の非再現性が原因であることがわかっている。このように、この自己校正機能付きロータリエンコーダ(SelfA)は、装置に取り付けた後に、先天的偏差要因の目盛スケール偏差要因とエンコーダ軸と目盛盤の偏心要因ばかりでなく、これまで検出が不可能であったエンコーダ軸と装置軸の偏心要因、取付け時のゆがみ要因、測定環境要因を検出し校正値として出力できることがわかった。5 今後のシナリオ前節で述べた自己校正機能付きロータリエンコーダ(SelfA)は、これまでの部品の精密化と異なり、自己校正という方法論により高精度化とその角度偏差の「見える化」を可能にしたロータリエンコーダと呼ぶことができる。現在、市販されているロータリエンコーダの中で、最も高精度とされる製品の精度は約±0.2秒である。しかし、SelfAは図11に示すようにボールベアリングの性能評価ができる能力を持ち、取付け偏差要因、測定環境要因、機械構造要因等を検出した上で±0.3秒の再現性を定量的に確保している。もし、ボールベアリングよりも軸ぶれの小さいエアベアリングを用いていたならば再現性が±0.1秒を超える角度偏差を検出することが可能である。また応用例で明らかなように、SelfAは単純にロータリエンコーダ自身の角度偏差を検出するだけでなく角度偏差の「見える化」の特性により、装置の耐荷重に対する装置筐体の剛性、軸ぶれ評価やベアリングの品質評価など、角度以外の新たなセンサとしての応用も考えられる。つまり、この方法論はさらに高精度なハードウエア技術へ適用して、より高い信頼性をユーザーに提供できるであろう。例えば、SelfAの持つさまざまな角度偏差要因を検出できる機能を応用すると、野外の温度差が激しい現場で行う測量機器(トータルステーションやセオドライト用語1)や電波望遠鏡の角度制御、偏加重がかかるX線装置やエリプソメータ用語2等のゴニオテーブル、加工加圧やトルク変動等の外力がかかる工作機械や産業ロボットのアーム角度制(54)−角度偏差 (秒)角度 (度)060120180240300360-3020100-10-2030NormalUnbalanced weight (One-sided load)センサヘッド角度偏差 (秒)角度 (度)060120180240300360-3020100-10-2030±10 ″±10 ″±0.3 ″±0.3 ″角度 (度)060120180240300360-1.01.00.50.0-0.5角度誤差のばらつき (秒)図8 自己校正機能付きロータリエンコーダ(SelfA)内臓の回転テーブル図9 加重による内部ロータリエンコーダの校正値の変化図10 回転テーブルの校正値(静的角度偏差)図11 回転テーブルの校正値の再現性(動的角度偏差)

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