Vol.1 No.4 2008
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研究論文:ロータリエンコーダに角度標準は必要か(渡部)−299 Synthesiology Vol.1 No.4(2008)準センサヘッドを等角度間隔に配置したセンサヘッドの1つに代用させることで、等分割平均法を可能にしている。4.1 SelfAの原理ここで1個のロータリエンコーダで自己校正が可能な等分割平均法について簡単に解説する。図4(c)のようにロータリエンコーダの目盛盤の周りに5個のセンサヘッドを配置した場合、それぞれのセンサヘッドが出力する角度信号には、角度偏差A1、A2、A3、A4、A5が含まれているとする。ただし各センサヘッドは同一目盛盤を検出しているため、A2、A3、A4、A5はそれぞれA1に対して72度間隔ずつ位相がずれているだけである。直接には各角度信号から角度偏差を分離することはできないため、基準とする一番のセンサヘッドの角度信号との差δを計算すると、差δは式(1)のように角度偏差だけで表現することができる。一周360度のδの計測値例を図5に示す。δ1=A1−A1δ2=A1−A2δ3=A1−A3δ4=A1−A4δ5=A1−A5 (1)次に、この5個のδの平均値µを求めると次式のようになる。平均値µを図5の5個のδから求めると図6のようになる。µ=Σδj=A1−−(A1+A2+A3+A4+A5)j=1515右辺第1項は、このロータリエンコーダの角度偏差つまり校正値であるが、第2項があるため解析値の平均値µはそのままでは校正値とはいえない。ここで第1項と第2項の関係を調べるために、仮にA1の校正値が求まり、その値を72度位相ずつずらしたA2、A3、A4、A5を作成し、それらから第2項を計算すると、そのフーリエ成分は図7のような関係になる。右辺第2項はA1のフーリエ成分の5の倍数次成分と同じであることがわかる。つまり5個のセンサヘッドを配置した場合には、平均値µは第2項により5の倍数次成分を含んでいないA1の校正値となる。5の倍数次成分の校正値への影響が大きい場合には、異なる数たとえば7個のセンサヘッドを配置することで、より高精度に校正値を得ることができる。このように得られた校正値は、特定のフーリエ成分を検出していることになるため、本原理は表1に示されるようにフーリエ成分検出法に分類されている。この原理の特徴は、先に紹介したマルチ再生ヘッド法や3点法が、1つの基準センサヘッドとその他センサヘッドといった関係ではなく、等角度間隔に並んだ各センサヘッドをそれぞれ基準として計算できることにより統計精度を上げることができるため、多少のセンサヘッドの配置にずれがあっても、角度偏差に影響が少ない点である。また、解析はフーリエ変換や逆フーリエ変換を用いずに四則演算のみで計算できる点である。4.2 SelfAの応用例図8に示すように、下部に10個のセンサヘッドを配置した自己校正機能付きロータリエンコーダを備えた回転テーブルを開発した。図9はテーブルの上部に何も載せないで自己校正を行った場合と、5 kgの重量物を置いて再校正した場合の校正値である。明らかに校正値が変化していることがわかる。これはテーブルへの加重がテーブルの筐体をゆがませ、結果的にロータリエンコーダを変形させてしま(53)−角度 (度)角度偏差 (秒)06012018024030036020100-10-2006012018024030036020100-10-20角度 (度)角度偏差 (秒)フーリエ次数フーリエ成分強度第2項校正値A05101520253035404550図5 SelfAからの出力データ図6 SelfAの解析結果図7 解析結果とそのフーリエ成分の関係(2)
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