Vol.1 No.4 2008
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研究論文:光触媒技術の開発と応用展開(垰田)−294 Synthesiology Vol.1 No.4(2008)研究者や技術者、企業を増やしていき、さまざまな企業と光触媒に関する共同研究や技術指導を年間4、50件行ってきた。光触媒性能評価試験法としてはこれまでに光触媒材料の空気浄化性能試験方法-第1部 窒素酸化物の除去性能(JIS R1701-1)や光照射下での光触媒抗菌加工製品の抗菌性能試験方法・効果(JIS R1702)、光触媒材料のセルフクリーニング性能試験方法-第1部:水接触角の測定(JIS R1703-1)と第2部:湿式分解性能(JIS R1703-2)、活性酸素生成能力測定による光触媒材料の水質浄化性能試験方法(JIS R1704)、光触媒試験用光源-第1部:紫外線励起型光触媒用光源(JIS R1709)などがJISとして制定され、そのうちの窒素酸化物の除去性能の試験法がISOとして制定されている。 5 結果と考察以上のように、それまでにはなかった高機能光触媒の開発を行い、それを用いて新しいさまざまな応用を展開してきた。その結果、これまで光触媒に関して国内外で約200件の特許出願を行い、そのうちの約半分が既に特許登録されている。そして、のべ40件の特許および知財が実施されており、現在さまざまな製品が製造販売されている[15]。光触媒はさまざまな応用が可能であるが、製品化のレベルにまで持って行くためには応用分野ごとに最適の形状やデザインを見つけ出すことが必要である。例えば、セルフクリーニングや防汚の場合には、光触媒表面が平滑な方が汚れが落ちやすくて良いし、水処理や脱臭の場合には光触媒表面がでこぼこした多孔質の方が有害化学物質が吸着されるために、好ましい。また、脱臭においても酸性、中性、アルカリ性など、いろいろな悪臭があり、それに対応した光触媒が必要である。このように実際の使用を念頭に置くことにより、用途に応じたさまざまな高機能光触媒とそれを用いた光触媒製品の開発に成功し、水処理、脱臭、大気浄化、セルフクリーニング、防汚、防曇、抗菌防かび、ダイオキシン処理など、光触媒による環境浄化技術を開発した。また、実用化する上でコストの問題が最も大きいため、廃棄物の利用による低コスト化や省エネルギーでの製造を進めた。その結果、光触媒の実用化・産業化とそれを用いた環境浄化についてはある程度実現したが、地球環境浄化という目標の実現についてはこれからであり、研究のさらなる発展と製品の普及が必要である。 6 将来への課題光触媒技術は簡単に安全に使用することができ、光が(48)−あれば世界中どこでも利用できる。そのため、先進国だけでなく開発途上国にも適した技術でもあり、世界に貢献できる科学技術である。地球環境浄化を実現するためには、世界各国での光触媒の普及が必要である。そのためには世界各国、特に成長著しく環境汚染が深刻化している東アジアや東南アジアの国の研究機関や企業との連携が必要であり、個々の国の状況に応じた光触媒技術の開発が必要である。例えば、環境汚染物質の濃度が高いところでは光触媒の性能や施工面積を上げたり、他の技術と組み合わせたりする必要がある。また、光触媒の普及のためには低コスト化が必要であり、それを進めるためには、その国にある廃棄物や未利用資源を活用することが必要不可欠である。こうして現地に適した光触媒が開発されるとさらにそれを用いた新たな応用が進んでいき、光触媒技術が発展していく。現在、中国や台湾、韓国などでも光触媒の協会が設立されており、光触媒技術の産業化と普及が進んでいるが、これを世界中に拡げるためには各国の技術者とのさらなる連携が必要であり、中国や台湾、韓国、タイ、フィリピン、ベトナム、ヨーロッパなど、さまざまな国の研究機関や企業との協力や指導を精力的に進めている。 謝辞本研究開発において国内外のさまざまな研究者や技術者、企業、大学、公設試験研究機関など、多くの関係者の皆様のご協力・ご支援をいただいたことに感謝致します。キーワード環境浄化技術、光触媒技術、酸化チタン、水質浄化、空気浄化、抗菌防かび、防汚増尾富士雄, 加藤真市:過酸化水素の製造法, 特許公報 昭34-511 (1959).F.Mashio and S.Kato: Method for the simultaneous production of hydrogen peroxide and carbonyl compounds, US PATENT 2, 910, 415 (1959).増尾富士雄、加藤真市: 酸化チタンを光触媒とする酸化反応に関する研究(第1報) 酸化チタンを光触媒とするテトラリンの液相酸化, 工業化学雑誌, 67, 1136-1140 (1959).垰田博史:二酸化チタン透明薄膜光触媒の作製と応用, 環境管理, 32-8, 943-949 (1996).垰田博史, 山田善市, 相沢和宇:光触媒シリカゲルを用いたダイオキシン類分解装置の開発, 環境研究, 2001 No.123,10-15 (2001).垰田博史:光触媒を活用したダイオキシン除去技術, 産業と環境, 376, 35-38 (2004).垰田博史:光触媒による水処理への応用, 産業と環境, 394, 27-30 (2005).垰田博史:企画特集 進化する光触媒, 月刊地球環境, 450, [1][2][3][4][5][6][7][8]参考文献
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