Vol.1 No.4 2008
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研究論文:光触媒技術の開発と応用展開(垰田)−290 Synthesiology Vol.1 No.4(2008)究会や業界団体を組織し、高性能光触媒の開発に不可欠な光触媒性能評価試験法の標準化を行うとともに、展示会の開催・出展、講演会の開催などを通じて社会への光触媒技術の啓蒙を組織的に進めることにした。そして、安全性や、RoHS、WEEEなどの環境規制、薬事法、公害関連法、PRTR法などの法規制を考慮して光触媒の開発を進めることにした。これらの戦略により、技術的な死の谷と経済的な死の谷と社会的な死の谷という3つの死の谷を超えることを意図した。 4 光触媒の実用化に向けた研究開発等の実行4.1 高機能光触媒の開発と応用実際に行ってきた研究開発と応用について時系列に沿って述べる。4.1.1 酸化チタン透明薄膜光触媒の開発[4]光触媒は光が当るとともに対象物質が接触して来なければ分解できないという制約があり、光触媒反応は表面で反応が起こるため、表面積が大きいほど、効率が向上する。そこで、粒子径が小さくて表面積の大きな超微粒子の高活性化チタン光触媒が開発されてきた。しかし、粉末の光触媒は風で飛ばされたりして取り扱いや回収の難しさなどの欠点があり、実用化を進めるためには酸化チタン光触媒を基材に固定化することが必要不可欠であるため、これまでいろいろな方法が試みられてきた。酸化チタンの粉末を有機バインダーに混ぜて固定化する方法では、光触媒作用によって接着剤の有機物が分解されてしまうため、酸化チタン粉末がしだいに脱落してしまい、耐久性に問題があった。また、セメントなどの無機のバインダーや釉薬に酸化チタンの粉末を混ぜるという方法では、酸化チタンがその中に埋もれて光が当たらなくなり、対象の化学物質が酸化チタンに接触しにくくなってしまうため、光触媒性能の低いものしかできないという問題があった。また、CVDやPVD、スパッタリングなどの方法もあるが、真空容器が必要で大表面積のものを作製しにくく、多量のエネルギ―を必要とするなどの問題があった。そこで、低コストで簡単に行えるゾル-ゲル法を用いて、基材に固定化した酸化チタンのみから成る膜状の光触媒を開発した(写真1)。チタンのアルコキシドからチタニアゾルをつくり、ディップコーティング法によってガラス基板の上にコーティングした後、乾燥、焼成し、これを繰り返すことにより、透明で耐久性に優れた高性能の酸化チタン薄膜光触媒を作製することができた。この酸化チタン固定化光触媒は、表面が全て酸化チタン光触媒となっているため、接触してくる化学物質を効率良く分解することができる。そして、透明なガラス基板の上にこの酸化チタン薄膜光触媒を固定化した場合には、基板を透過してくる光を利用することができ、水処理などを連続的にかつメンテナンスフリーで行うことができる。しかも、抗菌作用や超親水性も有している。この透明で耐久性に優れた高性能の酸化チタン薄膜光触媒を作製するためには基板の上にチタニアゾルを薄く均一にコーティングすることが必要である。刷毛塗りでは刷毛目が付いて薄いところと厚いところができ、白濁した膜になってしまうため、ディップコーティング法を用いた。しかし、ディップコーティングの際、引き上げ速度が速すぎると膜が厚くなって白濁したもろい膜になってしまい、引き上げが滑らかでないと膜厚が不均一となって焼成の際に歪みが掛かって剥離してしまうため、ゆっくりと滑らかに引き上げることが必要であった。市販品でそのようなディップコーティング装置がなかったため、愛知県の企業とその装置を共同開発することにより、酸化チタン透明薄膜光触媒の作製に成功した。この酸化チタン透明薄膜光触媒の応用についてさらに検討を行い、水を浄化する光触媒ガラスウェアや光触媒ペレット、汚れがつきにくく脱臭抗菌機能を持つ光触媒蛍光灯(44)−写真1 酸化チタン透明薄膜をコートした光触媒機能性ガラスウェア写真2 光触媒シリカゲル(右、左:シリカゲル)とダイオキシン分解装置

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