Vol.1 No.3 2008
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−246 −246 編集後記シンセシオロジーも号を重ねて第1巻第3号の発刊の運びとなりました。今回も広い分野から第2種基礎研究に関する多彩な論文を掲載することができました。執筆者・査読者を始め、関係された方々に厚く御礼申し上げます。さて、今号では特別記事として、5月13日に秋葉原コンベンションホールで開かれた「シンセシオロジー」創刊記念シンポジウムの内容を紹介いたしました。当日は、会場満員の参加者(特に産業界からの方々が中心)にお集まり頂き、大変密度の濃いシンポジウムとすることができました。これも多様な分野の皆様からの大きな関心の表れであると考えており、講演者の方々を含めて参加者の皆様に対して深く感謝しております。同シンポジウムでは、招待講演に加えてパネルディスカッションでもシンセシオロジーに対する熱い期待や注文が寄せられました。その中で、多くの方が発言しておられたことは「社会的な出口に結びつけるシナリオ」とそのための「構成的方法論」の重要性です。これらはシンセシオロジーの創刊に向けて特に我々が重視してきたことであり、正に第2種基礎研究の中心的課題であります。また、それを記述するシンセシオロジーの論文としても、これらを執筆要件として記載してあります。これまでの論文の査読や編集委員会での議論の中で感じたことですが、執筆者の方々はそれぞれ「第2種基礎研究とは何か」ということを意識して論文執筆の様々な努力・苦労を重ねています。特に「社会的な出口に結びつけるシナリオ」については、よく考えて記述されていると考えられます。これは社会に役立つ研究をするにはどうしたら良いかを常に意識して考える研究者としては当たり前のことかも知れませんが、それをシナリオとして記述できたことは画期的なことと考えられます。その一方で、構成的方法論についてはまだまだ記述の形式が定まっていません。これには課題が大きく二点あるように思います。一点目は、第2種基礎研究の構成的方法論は極めて多様であり、方法論としての考え方・捉え方がまだ不明確であると言う点があります。二点目は、たとえ方法論として作り上げることができても研究の構成的プロセスをうまく記述することがそう容易ではない、と言うことではないかと思います。これらはシンセシオロジーが巻を重ねることよって自ずと明らかになっていく面もありますが、やはり意識してその方法論を議論していく必要があると思います。21世紀の世界は、地球環境・資源・エネルギーと言ったかつてない大きな制約の中で持続的な発展を目指さなければなりません。そのためには社会的な出口を常に意識する第2種基礎研究のような研究の方法論が必要となります。それを記述するとともに、その知識を広く研究者・技術者・生産者・企業家ひいては社会が共有していくためにもシンセシオロジーの使命は大きなものがあります。広い分野の多くの研究者・技術者の方々の積極的な投稿とディスカッションにより、まだ生まれたばかりのこのジャーナルを一緒に創りあげていくことへのご協力を是非期待したいと思います。(編集副委員長 小林 直人)(77)−
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