Vol.1 No.3 2008
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−232 Synthesiology Vol.1 No.3(2008)総説:個の「知」から全の「知」へないところが、設計科学あるいは構成学の弱みになっています。設計科学にもそれに対応するものがあると言っている方もいます。事実命題に対して価値命題というのを作る。価値命題を、物を作ることによって試して、価値命題が満たされるか満たされないかでループを回すというような考え方です。横幹連合も「横幹」という雑誌を去年から出しました。また、横幹連合はコンファレンスを隔年、総合シンポジウムも隔年でやっています。そこでは、本当にいろいろな学会の人たちが出てきて、議論が発展しています。シンセオロジーのコンファレンスもやられたらいかがでしょう。そのときには横幹連合も呼んでいただければありがたいです。もう1つ、実は私ども「コトつくり宣言」というのを横幹連合で発しました。これはモノつくりもいいけれども、これからはコトつくりが必要ではないかというものです。「コトつくり」は悪夢の時代を乗り越えるための方策にもなりえるのではないでしょうか?上田 完次 東京大学教授【パネルディスカッションコメント】シンセシスとアナリシスを整理してみますと、まず、物質の根源を解明するというのは全体としての存在が既にあるわけですから、まさに分解していって、それは何かということ、つまりアナリシス・バイ・アナリシス。アナリシスというのは、分析と同時に、理解したい、わかりたいという意味も含んでいて、シンセシスは、統合する、構成すると同時に、何か作るということを含んでいます。つまり、方法論としてのアナリシスとシンセシス、それから対象としてのアナリシス、シンセシスという見方があるわけで、4つの象限が描けます。シンセシス・バイ・アナリシスという場合は、分析的な学問というものがあって、それを合成して新しいものを作るという立場。現状の工学的なものはそれにのっとっています。それが正しいかどうかは、世の中に出して、市場でセレクションされ、役に立つかどうかで検証されます。アナリシス・バイ・シンセシスでは、失敗や間違いを含めて何かをやってみる。それで科学的な発見をするような研究者も出てきます。合理的な、演繹的な手法では、この試みというのは、演繹的に理屈があって、これだからこれをやるということでやるわけです。シンセシス・バイ・シンセシスというのは、理屈はわからないけれども、どれだけの合理性を持って試行錯誤できるか、そのあたりが1つの重要なシンセシスというものの方法論の「そうでないものではできないもの」ということを主張できる根拠がありそうな気がします。人間というのは何か新しいものを作るということと、不思議に存在するものを不思議だから理解したいという両方があります。シンセシオロジー誌で全てをターゲットにするというのであれば、存在しているものの不思議を解明するときに、個別学で到達する深さ以上に、バイ・シンセシスでそれができるのかというところができたらすごいです。それから、新しいことを作るということも、理屈は何であれ、世の中にはいろいろ有用なものができてきているわけですから、それに対してシンセシス・バイ・シンセシスでもって、社会にとってより有益なもの、経済的価値も含めた価値を生み出すことができるのか、それらがこのジャーナルの中から出てくる、あるいは、そういう論文を扱ったということができればすごくいいなと、少し期待を込めて気になっています。 前田 拓巳 株式会社島津製作所技術推進部部長【パネルディスカッションコメント】企業においては、本当の意味での基礎研究はなかなかやる余裕はありませんが、5年先10年先をにらんだ研究、それを使った先端的な、非常に挑戦的な製品を開発しようとした場合、産学の連携で国のプロジェクトなども利用しながら研究して、その成果を新しい製品、画期的な製品に結びつけようという動きが大きくなってきました。ただ、こういうものが終わった段階ですぐに新製品が出るわけではありません。やはり新しい製品であればあるほど、いきなり市場に出すのではなく、例えばユーザーのところに持って行ってベータサイト評価やいろいろな実証データを得ていく、その中でデータを積み上げ、性能を確認していくことが必要になります。先を見た研究であればあるほど、それを製品に結びつけるまでの間に時間的なギャップが存在します。企業にとって将来非常に大きな製品になるであろうという研究、このあたりに「悪夢の時代」があるだろうと思います。「島津評論」は1940年に発刊されました。古い歴史はありますが、企業の技術誌ですから、やはりほとんどが新製品の技術紹介という内容になっています。できるだけお客様に有効性をアピールして使っていただくというのが基本的なスタンスです。他企業のいろいろな技術誌と比べると技術寄りの色彩の強い雑誌で、年2回発行しています。例えば、医療とか環境分析とかの特集を組み、特集論文と(63)−

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