Vol.1 No.3 2008
53/81

研究論文:製造の全行程を考慮した資源及びエネルギー利用の合理化指針(北ほか)−219 Synthesiology Vol.1 No.3(2008)(50)−4 まとめ4.1 製造の評価 セラミックスと鉄で部材を製造し、それらをアルミニウム製エンジン部品の鋳造ラインにおいて生産部材として7年間使用、そして廃棄されたというケースのエクセルギー解析を行った。①製品1本当たりに投入されるエクセルギーはセラミックス製が4175 MJ、鉄製が621 MJであって、鉄に比べてセラミックスは極めて多くのエクセルギーを消費している。②セラミックスに固定されたエクセルギーは229 MJ、でこれは投入されたエクセルギーの5.5 %であり、大半を系外に排出している。③工程別では、造粒と焼成で投入全体の80 %を消費している。④しかし多大なエクセルギーを投入した結果、セラミックスは高い保存性を得る。この特徴を活かして溶融アルミニウム中で使用されると、7年間で鉄を使用した場合に比べ、エクセルギー消費を362 GJ小さくできる。4.2 合理化検討 現状のシステムを前提として、セラミックス、鉄の各部材を使用した場合の合理化の指針、ならびに鋳造システム全体の合理化を図る上で必要な技術をまとめた。①鉄・アルミニウム溶湯に侵食され難い材料やコーティング技術の開発。②セラミックスセラミックスの製造効率向上には全工程の中で特に消費の大きい造粒と焼成の合理化が不可欠である。・造粒工程における解こう材の選定や粒度配合の調整等、前後の工程への影響を考えた水分量の最適化。・粗いケイ素粒子を使用して低温で窒化できる触媒、また窒化と焼結の同時化プロセス。・中空構造を前提とした設計:原料の使用量の低減と焼成時間の短縮化。・多大なエクセルギーを投入して製造されたセラミックス部材を長く使うため、部分的に交換、修理して使用できるための技術開発。③鋳造システム・溶湯搬送システムの効率を高めるためには、軽量で断熱性に優れた搬送容器の開発が鍵。・固体のまま工場内に搬送し、必要な量を処理して製品とするシステム。瞬間的に溶解する加熱源や、断熱性に優れ、溶湯が付着しない大型のセラミックス管や容器、さらに分解性を更に高めたエンジンの設計、そして廃エンジンの分別回収システムを社会的に定着させることなど、多方面にわたる課題の解決を図ることが必要。5 今後の展望 以上の検討をふまえ、エクセルギー解析の有効性と課題についてまとめた。5.1 エクセルギー解析の有効性①通常の環境負荷評価は製造段階で実施され、その内容は上位計画で既に決められているため、負荷低減に向けた対応の選択肢は限られる。製造に移行する前の段階、すなわち企画、研究開発、設計といった段階で、幅広い階層に渡るシステムについて資源消費や環境負荷を予測し、その結果を技術や製造にフィードバックすべきである。モノとエネルギーを結び付けるエクセルギーは性質上、事前評価に適した指標であり、その有効活用が望まれる。②循環システムは持続性の外殻である。循環システムを稼動させるために必要な外部からの資源・エネルギー投入を少なくするために、エクセルギーを適用したシステムの合理化設計は急務である。③本稿ではセラミックスや金属の事例を取り上げたが、エクセルギーは特定の分野や対象に限定されるものではない。最終目標は、製造(ミクロな要因)とグローバルなレベルでの持続性(マクロな結果)を結びつけることにある。排出に関わる国家レベル等マクロな入出力データを使ってエクセルギーの消費速度を算出することは原理的に可能であり、それを持続性への重心移動の指標とできないだろうか。5.2 改良すべき課題①粉末粒子とそれを原料として作製された焼結体を同じ化学エクセルギーで評価している。今後、表面や界面エネルギー等を考慮した状態の違いを表す指標とする必要がある。②希少性、有害性を評価する上でエクセルギーは不適であり、他の指標とも組み合わせながら多面的な評価を行うことが必要である。謝辞 本稿は産総研内部の分野横断的メンバーによるミニマルマニュファクチャリングワーキングでの議論の一部をヒントにしながらとりまとめたものであり、同ワーキングの関係各位に感謝の意を表す。用語説明用語1:エクセルギー:他のエネルギーに変換可能な有効エネルギー。キーワードエクセルギー、環境、製造、システム(系)、効率、合理化

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です