Vol.1 No.3 2008
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研究論文:製造の全行程を考慮した資源及びエネルギー利用の合理化指針(北ほか)−218 Synthesiology Vol.1 No.3(2008)(49)−加するため、焼成温度を上昇させることが考えられるが、設備投資や生産個数を考慮しながら、全体システムの最適化を図っていくことになる。 なお、熱工学より生まれたエクセルギーは有効エネルギーとして物質との共通項として捉えられているが、上述したような界面や表面の扱いといった物理学的な視点での体系化は十分ではないように思われ、指標の高度化を図る上でも今後の課題であろう。③設計、その他 前述したようにセラミックスがアルミニウム溶湯中で極めて安定であることから中実体である必要はない。中空構造を前提とした設計・プロセスは原料使用量が低減するだけでなく、薄肉化により、熱応力が低減され、焼成時間の短縮化も可能となるため効率向上に極めて有効な手段である。 一方、セラミックスはリサイクルに不向きである。多大なエクセルギーを投入して製造されたセラミックス部材をできる限り長く使うという意識をもつことが生産者と消費者に必要であり、技術開発においては、セラミックスのこうした特徴を考慮し、壊れても部分的に交換、修理が可能な構造の設計やプロセス開発が必要と考える。3.5.3鋳造システムの革新 鋳造工程全体でみると、固体を溶解させる工程が2回あり、搬送過程で熱を相当放散することが考えられる(図4)。固体を溶解させるために要するエクセルギーは約19000 GJ(4300トン当たり)と試算された。これを減らすため現在、外部で溶解されたアルミニウム溶湯を断熱容器に入れ、溶湯のまま直接工場内に搬送し、保持炉による温度調整、成形という溶湯搬送といわれるシステムの開発が大手自動車会社を中心に進められている。溶解-固化という工程が1回減るため、効率が向上することが期待されている。しかし現状、搬送容器の断熱性が十分でなく、搬送過程で外部ヒータを使って加熱していることや、容器自体が重量物であるため、搬送過程での燃料消費が多いといった課題がある。溶湯搬送は原理的に効率の高いシステムであり、その普及が期待されるが、それには軽量で断熱性に優れた搬送容器の開発が鍵となっている。 上記搬送システムにおいて大本となる集中大型溶解炉では、いったん炉内でアルミニウムを溶解すると、溶融状態を維持するため、連続操業となる。必要量に関係なくエネルギーを投入し続ける必要があることを考えると、究極は、固体のまま工場内まで搬送し、必要なときに、必要な量を溶かして製品とするシステムではないだろうか。このシステムを実現するためには、瞬間的に溶解する加熱源や、同システムの構成要素となる断熱性に優れ、溶湯が付着しない大型のセラミックス管や容器、さらに分解性を更に高めたエンジンの設計、そして廃エンジンの回収システムが社会的に定着させることなど、多方面にわたる課題があり、全体のエクセルギーバランスを考えつつ、個々の解決を図ることが必要である。エクセルギーレベル★歩留まり, 搭載率向上★薄肉化による時間短縮★熱回収★触媒★設計(中空構造化)★低エクセルギー原料への転換□過剰Ex最低必要な投入Ex□活性化Ex□炉材加熱等Ex□配置Ex □表面・界面由来Ex□化学Ex□表面由来ExEx : エクセルギー投入されたEx参照種 Ex=00製品のEx原料のEx図11 セラミックスプロセスの合理化の検討
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