Vol.1 No.3 2008
48/81
研究論文:製造の全行程を考慮した資源及びエネルギー利用の合理化指針(北ほか)−214 Synthesiology Vol.1 No.3(2008)た中間製品は次の工程の原料となり、所定の工程を経て最終製品が得られる。 エクセルギー計算にあたっては、原料から最終製品にいたるまで工程に投入、及び排出される全ての原料やエネルギーの種類とその量を明らかにする必要がある。今回、大手製造メーカーの協力を得て、製造現場でのデータを入手することができた。大半はそのデータを使用したが不明な部分もあり、それらについては経験を基にした推定値で補った。2.3 製造効率 投入された全ての原燃料とエネルギーのエクセルギー総和に対する製品のエクセルギーの割合をエクセルギーの部材内固定率(η)と呼ぶこととした。 η=EX(p)/EX(in) ・・・・・(6) ここにEX(p)は製品の化学エクセルギー、またEX(in)は投入されたエクセルギーの総和である。本稿では上記エクセルギーの部材内固定率、及び投入に必要なエクセルギーの両方を勘案しながら、製造効率の評価を行った。3 事例研究3.1 アルミニウム鋳造ラインの工程とヒーターチューブの役割 アルミニウムは熱伝導性が良く、軽量性に優れ、こうした特長を活かしてエンジン部品への採用が進んでいる。またアルミニウムはリサイクル性に優れ、廃エンジンはスクラップとして回収され、諸工程を経て再びエンジンとなる。図4はアルミニウムの鋳造ラインの工程を中心とした循環システムを示す。まず回収された廃エンジン(スクラップ)は集中大型炉で溶解される。それらはいったん固められインゴット(塊)として工場内に搬送され、再び集中溶解炉で溶かされた後、保持炉に移送される。温度と成分調整が施された溶湯はダイキャストマシンに配湯され、成形され製品となる。こうした循環システムにおいて、熱損失、アルミニウム溶湯の酸化、不純物の混入といった効率を低下させる要因は多い。一定の品質と生産量を確保するために外部からエネルギーやモノの投入は不可避であって、これらの投入を低減することが循環システムの効率を向上させるということである。 その対応の1つとして、生産部材のセラミックス化が試みられている。保持炉(図5)に使用されるヒーターチューブ(図6)もその1つであり、電熱線等を内包した保護管であって、アルミニウム溶湯の温度を一定に保持するために使用される。保存性の高い窒化ケイ素をヒーターチューブに適用することで、炉内下部に水平に固定された水平浸せき型構造が可能となり熱効率が向上する(図5)。ただし鉄製に比べてセラミックス製のチューブは格段にコストが高い。今回、ヒーターチューブ(重量19 kg)を窒化ケイ素と鉄で製造した場合について、各々、製造-運用-廃棄に関わるエクセルギーの解析を行った[11][12]。3.2 化学エクセルギーの算出 解析にあたり、まず製造に関与する全ての物質のエクセルギーを算出する必要がある。以下に重要な材料である窒化ケイ素(Si3N4)を例として、そのエクセルギーの算出過程を示す。窒化ケイ素の参照種はシリカ及び空気である。 Ex(N2) = RT0 ln(101.3/76.57) ・・・・・(7) Si+(2/3)N2→(1/3)Si3N4 ・・・・・(8) Ex(Si) = (-△G0) + Ex(SiO2)-Ex(O2) ・・・・・(9) Ex(Si3N4) = 3(△G0)+3Ex(Si)+2Ex(N2) ・・・・・(10)(45)−図4 アルミニウムの循環と鋳造ラインの工程回収廃棄使用廃エンジン等溶解・成分調整アルミインゴット(固体)搬送集中溶解アルミニウム溶湯工場内の鋳造ライン温度調整固化成形ダイキャストエンジン部品(製品)溶解保持図5 保持炉の構造(A)垂直浸せき型(B)水平浸せき型■ヒーターの交換容易■熱効率は低い■ヒーターは底部に固定■熱効率は高いヒーターアルミニウム溶湯図6 ヒーターチューブの形状、寸法固定部浸漬部169 mm1100 mm1347 mmφ195 mm77.5 mmφ155 mm
元のページ