Vol.1 No.3 2008
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研究論文:製造の全行程を考慮した資源及びエネルギー利用の合理化指針(北ほか)−213 Synthesiology Vol.1 No.3(2008)システムを考察対象として資源消費の過程や、広く合理化の指針を示した例は見当たらなかった。本論文では、セラミックス部材、および鉄部材の製造、それらがエンジン部品等、アルミニウム鋳造ラインの生産部材として使用・廃棄されたという事例についてエクセルギー解析を行い、まず工程、製造、使用といった「境界」の採り方により、エクセルギーの消費や排出が相反する点に着目し、消費の過程、その意味と大きさを明らかにする。次にその解析結果をふまえ、プロセスの合理化の指針を示す。(44)−概念実証評価指標高度化具現化はかる ・つくる技術開発競争力アップ・新たな価値創造 (環境負荷低減という)・効率向上(コストダウン)図2 技術と指標の連携の重要性2 解析方法2.1 エクセルギーの計算①物質の化学エクセルギー[1] 参照種の化合物がXxAaBb・・・(X,A,Bは元素、x,a,bは組成比)という組成をもち、化学反応(1)によって生成され、その際のGibbsの自由エネルギー変化を△G0とすると化学エクセルギー Ex0 は、(2)式で算出できる。 xX+aA+bB+・・・→XxAaBb・・・ ・・・・・(1) ・・・ ] ・・・・・(2) 参照種とは周囲環境中において単独では化学反応を起こさない物質であり、そのエクセルギーは定義によりゼロである。参照種はJISに記載されているが[4]、記載されていない場合には、自由エネルギーの最も小さいものを参照種とした。②化学反応を伴うシステム[5][7] 熱力学データとして入手できる自由エネルギーの値は標準状態、純粋物質1モルの値で示されている場合が多く、エクセルギー計算では補正が必要である。反応物r1は周囲環境には存在しない物質、反応物ri(i=2,3,...L)と生成物 pj(j=1,2,...N)は周囲環境に存在する物質とする。反応物 riと生成物pjのモル分率はそれぞれxri、xpjで周囲環境でのそれらのモル分率とは異なる。またnri、npjはそれぞれ反応物と生成物の物質量(mol)である。1Ex0=−[−△G0−aEx0(A)−bEx0(B)−x左辺第一項の〔〕内は反応物r1の化学エクセルギーである。左辺第二項は反応物ri(i=2,3,...L)がモル分率xriのときにもつ分離エクセルギー、右辺第一項は生成物pj(j=1,2,...N)がモル分率xpjのときにもつ分離エクセルギーである。またSはエントロピー、T0は外界温度(K)、Rは気体定数である。③有機物 有機物の化学エクセルギーの計算式としては、Rant[8]やSzargut[9]の式が知られているが、本報告ではそれらを実用的に修正した信澤らの導いた次式[10]を使用した。 EX=m・Hl・〔1.0064+0.1519−+0.0616−+0.0429−〕・・・(4) m、Hlはそれぞれ対象とする有機化合物の乾燥質量(kg)、低位発熱量(J/kg)、またφC、φH、φO、φN はそれぞれ対象とする有機化合物に含まれる炭素、水素、酸素、窒素の重量分率である。④電力、気体燃料 電力はエントロピーを含まないエネルギーであり、そのままエクセルギーの値として使用した。一方、燃料ガスのエクセルギー計算は次式で計算した[10]。 e0=Σxi e0+RT0Σxiln(xi) ・・・・・・(5) ecはエクセルギーで、上つきの0印は標準温度(25 ℃)を意味し、下つきのiは成分iに対するものを意味する。またxiは成分iの体積分率である。2.2 システムの整理と入出力データ 本稿では、製造における大きな全体構成は「システム」と呼び、個々の採掘、輸送、使用、廃棄などは「過程」と呼ぶ。また過程は「工程」の集合体として捉えている。 図3に工程における物質、エネルギーの入出力フローを示す。各工程には原燃料が投入され、中間製品が生産される一方、廃物、廃熱を生じそれらは系外に排出される。得られφHφCφOφCφCφNcic工程n工程3工程2工程1・廃物: *kg・廃熱: *MJ・廃水: *kg・廃ガス: *kg・電力: *MJ・水: *kg・ガス: *kg排出排出排出排出投入中間製品出発原料: *kg最終製品: *kg中間製品中間製品図3 工程への入出力とフローNj=11xpojLi=2xroixroixri+ΣnriRT01n−−SgT0=ΣnpjRT01n−〔ΣnpjRT01n−−nr1−△G−ΣnriRT01n−〕j=1xpjxpoj ・・・・・(3)1LNi=2

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