Vol.1 No.3 2008
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研究論文:フレキシブルプリンタブルデバイス製造技術の開発(鎌田ほか)−197 Synthesiology Vol.1 No.3(2008)(28)−必要となってくる。これが、対象とするターゲットが既存のものであり、開発した技術がその一部を置き換えるだけという場合には、関連技術に対して注意を払う度合いは必ずしも高くならないかもしれない。しかし、これが新たな市場創出につながっていく新技術概念である場合、すなわち先駆性の高い技術である場合、必ず他技術との組み合わせに大きな注意を払い、技術体系化することが必要となっていく。それで、技術開発の展開としては面展開すなわち技術のセット展開が重要となってくるわけである。さて、この際一つ忘れてはならない重要な視点がある。それは今開発している技術はどの開発段階にいるのかという開発フェーズの概念である。技術のセット化はある意味当たり前であり、事業を見据えた開発をする企業においては、日常的に取り組まれていることである。しかし、ここに開発フェーズという時間の概念をきちんと読み込むと、単一的な概念ではないことに気がつく。すなわち、企業においてセット化の取り組みが行なわれるのは、技術がある程度完成させられるシナリオの全体像が見えてきた段階に入ってきてからである。企業といえども、シナリオがまだ良く見えてこない技術に対しては、その単一技術の探索することに終始せざるを得ず、どこかでそれのシナリオが描けるようになるという情報が得られるのを待つということになる。もう一つは、上述したようにセットしようにもそもそも「抜け技術」があるがためにセットのしようがなかったというターゲットを狙うという視点である。それを新規技術開発によりセットすることができるようになったということを示す意味合いである。これは、将に新産業製品の提示につながることが多いため知恵の出しがいと努力のしがいがあるということになる。企業活動においては、自社技術でないところで抜け技術が発生してしまった場合には、いかようにもすることができず、諦めてしまうことすらある。こうしてみると、いったい誰が最初に産業展開のシナリオを示していくのかというのが課題となる。すなわち、産業技術に関しては、ここを示せるかが勝ち目のある技術とさせられるかのキーポイントとなるということであり、将に我々が狙ったポイントである。 5.2 連続展開が早期普及を呼ぶ更には、技術の連続展開すなわち次なる技術を連続的に開拓していくことはかなり重要なこととなる。開発技術がどのようなシナリオで産業技術として展開されていくのかという視点は、実用化させていくということを睨んだ場合には極めて重要な事柄となっていく。とかく単発的な技術開発になりがちな、当該分野においてはなおさらである。単発的な技術は、特定用途に適することはあっても、広く普及させることが困難となってしまうことが多い。一方、ひとたび関心を寄せてもらった技術に、二の手、三の手を示していくことは、技術の奥深さを示していくこととなり、より強い関心を引き寄せるのに役立つ。結果的に、関連技術全般についてその産業界への普及速度が速まっていくという効果を発揮してくれる。だからこそ、技術は常時連続的に開拓していき、どのような技術として成長させていくのかというシナリオを示していくことが重要となるのである。 6 おわりに上記展開を推進し、ある程度社会に認知される成果をあげられることになったのは、我々が相互に密接な関係を有する研究チームを構成し、それぞれの研究開発が実質的に相互補完をなしえるような取り組みを行ってきたためと認識している。この点では、組織研究の強みを発揮できていると考えている。また、一方でこうした技術の多角的な展開ができたのも、その元をたどれば地道な学会活動がベースとなっている。学会活動における第1種基礎研究での活躍なしには、こうした技術に関心を寄せていただくようになることはさほどなかったのではないかという感触をもっている。今後も、チームとしてこうした第1種基礎研究と第2種基礎研究のバランスをとりながら、新産業創出につながる産業技術とその展開シナリオの提示に努め、新産業の創出につながる技術の開発に取り組んでいくつもりである。 付記本研究の一部は、NEDO「高効率有機デバイスの開発」事業、ならびにNEDO産業技術研究助成事業「三次元ナノポーラスフィルムセンサーデバイス技術の開発」の支援により行われた。 キーワードディスプレイ、情報端末デバイス、フレキシブルデバイス、プロセス革新、有機半導体、印刷≪要素技術の開発≫ 機能発現のための必要性能と プロセス条件との整合化 材料、デバイス構造、 製造プロセスの最適化≪動作デモンストレーション≫ デバイスの動作デモにより、 必要機能を満たすことを示し、 技術の有効性を実証 コンセプトメッセージの付与目標実現へのシナリオ≪ユーザー要求の調査≫ 最終ユーザーの要求 (使用機能、環境)の抽出市場調査、学会技術調査技術保有者との共同研究プレス発表等による外部宣伝≪デバイスの設計≫ 必要性能の抽出図10 フレキシブルプリンタブルエレクトロニクス実現のシナリオ

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