Vol.1 No.3 2008
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研究論文:フレキシブルプリンタブルデバイス製造技術の開発(鎌田ほか)−194 Synthesiology Vol.1 No.3(2008)4.2 プレイヤーマップの作成上記「誰が欲する技術か」ということを整理するためには、プレイヤーマップの作成が有効である。類似の技術であっても、技術レベルによって要求することが変わってくるため、それを整理し、開発技術の価値の発揮どころを明確化するということである。表1は、技術フェーズとそのターゲット商品、主たる対象企業種を示しており、表2はそれぞれの技術フェーズにおける技術課題に対する取り組み状況を示すプレイヤーマップである。例えば、ディスプレイといってもいろいろなものがある。テレビのように高度なディスプレイ(フェーズⅠ)は、かなり大掛かりに高度な技術を組み合わせていく必要があり、大手ディスプレイメーカーの欲する技術となる。この場合、ビジネス展開のシナリオは市場要求からほぼ定まってきてしまっているので、あとはシナリオを実現可能にする革新的技術を開発するか、社会要求を導入できる技術を提供するようにするかが先駆的技術開発の課題となるわけである。次に、電子ペーパーなどの新しいディスプレイ(フェーズⅡ)は、テレビほど大掛かりな技術を必要としない。したがって、大手メーカーであっても新興産業を狙う企業が欲する技術となる。この場合は、新市場開拓となるため、既存のものにはない機能の発現が開発の最優先事項となる。ただし、そのプロセスには、比較的簡便なものでも作製可能にしなければならないという制約は入る。同じディスプレイでも、表示器やラベルなどのような簡素な表示の電子化技術(フェーズⅢ、Ⅳ)は、簡易な技術ではあっても、まったく新しい産業製品を創出する技術となることから、中小やベンチャー企業等が欲する技術となる。ここでは、高価な特殊材料を用いない、高コスト製造技術を用いないなど、更なる多くの技術的制約がはいってくるために、やはりそれ専用の技術の開発が必要となるわけである。さて、このプレイヤーマップの活用の仕方であるが、ここからどのようなことを読み取っていったのかをいくつか例示する。① 開発しようとする個別要素技術は、全体のセットアップコンセプトとの整合性が取れるか。技術抜け、プレイヤー抜けなどが発生していないか。②開発しようとする技術は、先導性が発生する技術となりうるか。③ 開発しようとする技術は、多角展開が可能な位置づけにある技術か。④ 開発しようとする技術は、技術競争力のある位置づけが得られるものとなるか。 すなわち、技術マップ上の位置づけを明確に示して、勝てる技術となるかどうかの判断に非常に役立つということとなる。ここで言う「勝てる技術」とは、産業創出を先導するキー技術となりうる技術か(先導技術)、省エネなどの社会要請に応えられる技術となりうる技術か(社会技術)、技術開発力に十分な力を有しない産業への支援となりうる技術か(中小企業支援)ということをまず基準として検討している。 4.3 リニアモデル型とノンリニアモデル型技術開発ところで技術開発のスタイルには、統一的で明確な目標を立て、そこに向かって計画的に開発を進めていくリニアモデル型技術開発と、ターゲットイメージは漠然と存在するが、そこに統一的な明確目標を立てることが困難で、なおかつそこへたどり着くシナリオもよく見えず。そのためあるジャンプアップ技術の出現に期待するというノンリニアモデル型技術開発というのがある(図5)。情報端末デバイス技術のように、目標仕様が多種多様にわたっている場合には、概して後者のノンリニアモデル型の技術開発になることが多い。ノンリニアモデル型の技術開発は、一般的にはジャンプアップ技術の出現に期待されるところが大きく、その点では計画的技術開発が行いづらいと目されている。しかし、実際に適応されている技術分野をよく分析すると必ずしもそう(25)−大学企業材料フェーズⅠフェーズⅡフェーズⅢフェーズⅣ企業(既技術)既技術大学大学大学大学企業企業企業企業企業企業企業企業企業企業企業企業企業(既技術)企業(既技術)大手専門企業向け新規展開企業向け中小企業向けベンチャー・個人向け基礎 企業既技術 企業既技術 企業既技術プロトタイプデバイスプロセス導体半導体誘電体周辺材表2 技術開発のプレイヤーマップ技術階層市場の例技術レベル技術ユーザーフェーズⅠフェーズⅡフェーズⅢフェーズⅣテレビ携帯電話電子ペーパーIDタグセンサースマートオブジェクトラベル認識表示真空バッチプロセス印刷ロールTo ロール汎用印刷個人製造大手専門企業大手新企業中小企業ベンチャー・個人表1 展開のシナリオ

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