Vol.1 No.3 2008
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研究論文−190 Synthesiology Vol.1 No.3(2008)1 背景:求められるフレキシブル情報端末機器IT技術が広く社会に浸透するようになって来た今日、その利便性を向上させる技術の開発は、IT技術の拡大普及をもたらすこととなり、その結果巨大な経済効果を生むことが期待できる。またこれにより不要不急の資源、あるいは移動や通信のためのエネルギーを節約できるなど、持続的発展可能な社会の構築に資する技術を提供できるようになると考えられる。このため、今日そのハード、ソフトに関連する技術の開発が盛んに行なわれるようになってきており、国際的に技術開発競争が極めて熾烈になっている。IT技術は、ハードに関しては、情報を集約して処理を行なう「中央・幹線系技術」と、情報を吸い上げたり配布したりする「端末・アクセス系技術」とに大別される(図1)。前者は、コンピューターに代表されるように、技術的には「高速」「大容量」「規格化」といった点などが重視され、シリコンテクノロジーを中心に様々な研究開発の取り組みが行なわれている。これに対して、後者は、ディスプレイに代表されるように、技術的には「多様化」「大量普及」「ユーザビリティー(使いやすさ)」といった点などが重視され、使用する人、使用される場所の個性に合わせた対応が望まれている。IT技術の一層の普及拡大には、特にこの情報端末の普及(IT技術の裾野拡大)が必須となっており、更なる利便性を提供する情報端末機器の創出が期待されている。こうした新たな情報機器の創出には、市場要求をよく把握することが重要である。特にこの情報端末機器に関しては、今日広く一般の人々がネットワークの利用に慣れ親しんでくるようになってきたために、そのユーザビリティーに対しては、実に様々な要求が出されるようになってきてい研究論文IT技術の裾野拡大を目指し、情報端末機器のユーザビリティー向上をもたらすべく、使用者の個性が活かせる端末機器の製造技術として、フレキシブルプリンタブルデバイス製造技術の開発に取り組んできた。ディスプレイ等の情報端末を含む新たな情報機器関連分野を切り拓く技術となるだけに、その技術の展開、普及のための開発シナリオとして、社会要求仕様の分析、個別開発要素技術の位置づけの明示、材料・製造・デバイスの各要素技術のセット化による全体像の提示、関連技術の連続的開発などを描き、それを実践していった。フレキシブルプリンタブルデバイス製造技術の開発ー 「どこでもデバイス、だれでもデバイス」の実現に向けて ー鎌田 俊英*、吉田 学、小笹 健仁、植村 聖、星野 聰、高田 徳幸産業技術総合研究所 光技術研究部門 〒305-8565 茨城県つくば市東1-1-1 中央第5 産総研つくばセンター *E-mail:t-kamata@aist.go.jp(21)−産総研4.11つくば東22.《ねらい》 ◆ IT技術の裾野拡大 経済拡大 ◆ 情報末端の軽量化・低消費電力 大量普及型端末による省エネ促進 ◆ エンドユーザーが求める機能の提供 ユーザビリティの向上《開発技術》 ◆ フレキシブル・プリンタブルデバイス技術 軽量プラスチックフィルム上に低温で 半導体デバイスを塗布作製する技術《効果》 ◆ どこもでデバイス・誰でもデバイス 極薄、軽量、柔軟デバイスを高生産性プロセスで 製造・提供 ネットワーク端末の多分岐化、普及拡大電子の紙電子値札・荷札(フレキシブルシートディスプレイ)Ambientセンサ(超高速、大容量、規格化)(不断、低容量、多様化)中央 幹線系端末 アクセス系情報三角高集積化多分岐化頻度・普及生産管理タグパフォーマンスフレキシブル・プリンタブルデバイス技術携帯電話パソコンディスプレイカード光通信スーパーコンピューターシステムLSIシートカメラ図1 フレキシブルプリンタブルエレクトロニクス技術の開発

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