Vol.1 No.2 2008
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インタビュー:トヨタ自動車グループにおける基礎研究から製品化への流れについて−148 Synthesiology Vol.1 No.2(2008)赤松 そうですね。最終的なゴールを「夢」と呼んで、それにつなげるためにどういうふうに研究を進めていくかというのを「シナリオ」と呼んでいます。梅山 どういった研究がどのように発展していくものなのか、そのシナリオがインデックスのようになっていて、それが体系付けられてここに述べられていると大変助かりますね。例えば、こういうことを領域として取り組んでいて、こんなところを目的としている、といったことが、かなりビジュアルで表現されていると、そこからグッと深く読み込んでいけると思いますね。赤松 こういうことをやりたいのだけれども、それをやるために何と何が必要かということを、できるだけ図示して書いてもらうようにしているんです。シナリオを書くと、自分がどの段階にいて、これまでの成果がこの流れのどこの段階になっているかということがわかると思うんです。企業に技報がありますが、たしかに最終的な製品になった技術が書かれていますけど、どちらかというと要素技術の話が多いと思います。目利きの人がどうやって技術を組み合わせていったかという記事は、このジャーナルに向いているという気がするのです。梅山 サクセスに至ったストーリーみたいなものが紆余曲折も含めて載っていると元気が出ます。研究者の行動自体の記録ですね。そういう類のものって、書き物として珍しいと思うんです。僕らが大事にしているのは、こういうことをやろうと思って、こんなアプローチをしたらだめだった、だからこういう方向から攻めたらうまくいった、そういう考え方があるのだと。そういうのが書けるといいですね赤松 そのとおりだと思います。実際に研究開発をしている人間がどこに行き詰まって、それをどういうふうに考えて解決して、例えば、隣でやっている人の研究テーマがうまくつながることにある時気づいて、実際に形にしていったというような、実際に研究開発した人間の目で、最終的にうまくいったというようなことが書けるといいと思っているのです。梅山 強い目的志向で、地に足の着いた研究の発展形みたいなやつが出るといいですね。趣旨はよくわかりますし、産総研さんのやっていることが、社会に役立たせるという思いと一緒に広く伝わることがいいですね。赤松 幅広い様々な技術が詰まった自動車をつくり出すためには技術の統合・構成が欠かせないと思います。これに対しての組織的な取組みや必要とされる人材など、とても有益なお話を聞かせていただくことができました。今日はお忙しいところ、本当に有り難うございました。本インタビューは、2008年2月14日、豊田市にあるトヨタ自動車(株)本社において行われました。略歴梅山 光広(うめやま みつひろ)1982年東京大学大学院工学系研究科修士課程修了。同年トヨタ自動車(株)入社。駆動設計課配属、クラッチ操作系の設計を担当。1985年より捩り振動低減ダンパの先行開発およびドライブライン振動解析技術開発を担当。1994年より低騒音歯車の歯面修正法の関する研究に着手。1997年東北大学より上記テーマで学位を取得(工学博士)。同年よりハイブリッド車用駆動ユニットの開発を担当。2005年から技術統括部部長となり研究開発の統括業務を担当している。(67)−
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